АНДРЕЙ РУБЛЕВ / ANDREI RUBLYOV

1977年、日本公開時のチラシ

[スタッフ]
脚本:アンドレイ・タルコフスキー、アンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー/撮影:ワジーム・ユーソフ/音楽:ヴャチェスラフ・オフチンニコフ/美術:エフゲニー・チャルニャーエフ

[キャスト]
アンドレイ・ルブリョフ:アナトーリー・ソロニーツィン、キリール:イワン・ラピコフ、ダニール:ニコライ・グリニコ、フェオファン:ニコライ・セルゲエフ、ボリースカ:ニコライ・ブルリャーエフ、白痴の女:イルマ・フウシュ

1967年/モスフィルム製作/長編劇映画/35mm /シネマスコープ/パートカラー/2部作/182分
1969年 カンヌ国際映画祭批評家連盟賞
配給:ロシア映画社/日本公開:1977年

[解説]
ロシア最高のイコン(聖像画)画家と呼ばれながら、その生涯についてほとんど記録が残っていない、美術史上に不世出の天才画家と言われるアンドレイ・ルブリョフ(1360?一1430?)を描く大作。
300年にわたって異民族タタールの侵攻に脅やかされ続けてきた15世紀初頭のロシア。貴族は不毛の内乱に明け暮れ、民衆は飢えと疫病に苦しんでいた。この激動の時代に名作「三位一体」がいかにして生まれたのか?

映画はこの偉大な芸術家を主人公にすえ、15世紀ロシアの社会と人々の広範なパノラマを展開し、時代のさまざまな状況との関わりのなかで苦悩する芸術家の内面を浮き彫りにしていく。

アンドレイ・タルコフスキーとアンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキーは大胆自由にシナリオを構成、プロローグとエピローグを含む10のエピソードを重層的に積みあげて、時代と人間、社会と民衆といった巨視的なテーマで歴史の真実に迫ろうとする。
ウラジーミル、スズダリ、ノヴゴロド他の古都にロケした美しい映像も見逃せない。

この映画に自ら出演を申し出たというアナトーリー・ソロニーツィンは迫真の演技で、一躍、個性派スターの名を馳せた。

なお、この映画は歴史の解釈をめぐって論議を呼び公開が5年間棚上げされた。

[ストーリー]
1400年、降りしきる雨の田舎道を急ぐアンドレイとキリールとダニールの3人の僧侶はモスクワのアンドロニコフ修道院で、信仰と絵画の修行を積んだ仲である。彼らは道中、旅芸人が権力を風刺して捕えられるのを目撃して圧制下の民衆の生活を思い知らされる。

1405年、キリールは旅すがら出合ったビザンチンの名匠フェオファンが、モスクワでの新しい仕事に同輩のアンドレイを抜擢したことを知り、自分より画才が優るアンドレイヘの嫉妬心から俗界へ下った。モスクワでの仕事が始まってのちも、アンドレイの苦悩はいよいよ深まる。貴族の血なぐさい内紛、タタールの来襲、芸術家の両眼をつぶしてしまうような大公の残虐な仕打ち、夜の河辺で全裸で踊りふける異教徒の猥雑な騒ぎなど、ロシアの混沌を目のあたりにして、アンドレイの苦悩は深まるばかりだった。そしてタタールの襲撃から白痴の少女を救おうとして一人の男を殺してしまったアンドレイは罪の深さに絵筆を捨てて厳しい修行生活に戻る。

1423年、教会のために巨大な鐘の鋳造が行われている。この時、鐘作りの名匠の父親は既に亡かったが、父から鋳造の秘伝を教わったと偽って鐘づくりに凄じい情熱を賭ける若い職人ボリースカの姿があった。彼と民衆の情熱が鐘を完成させるのを見て、アンドレイは再び民衆への信頼と愛をとり戻す。偉大な画家への一歩はこの時始まったのである。


企画概要上映作品タルコフスキー年譜武満徹インタビュータルコフスキー論関連情報
監督作品:
殺し屋ローラーとバイオリン僕の村は戦場だったアンドレイ・ルブリョフ惑星ソラリスストーカーノスタルジアサクリファイス
関連ドキュメンタリー作品:in 「ノスタルジア」
in 「サクリファイス」


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