零下五十度の抑留者

家族にも明かされず、凍てついたままの記憶
1945年、第二次世界大戦の終結とともに、日本軍として戦地へ送られていた多くの台湾人兵士たちの運命は大きく引き裂かれた。当時、およそ 20 万人の台湾人が日本兵として戦争に動員され、そのうちの一部は終戦後にソ連軍の捕虜となり、極寒のシベリアへ送られた。約60万人の旧日本軍兵士や民間人がソ連によってシベリアや中央アジア各地の収容所に連行され、鉄道建設、伐採、鉱山開発などの過酷な労働を強いられ、飢えと氷点下の寒さでおよそ6万人の命が失われた「シベリア抑留」。 その歴史の中で「台湾人捕虜」の存在は長く見過ごされ、現在に至るまで正確な人数は分かっていない。日本人として戦い、孤独の中で生き延びた彼らの体験は、敗戦により日本が台湾を放棄したため日本国籍を失い、複雑なアイデンティティの狭間で、長く沈黙の中に置き去りにされてきた。
国境を越え、世代を超えて、戦争の影が遺した真実と向き合う
本作には、現在確認されている唯一の生存者・呉正男をはじめとるする台湾出身の元日本兵・許敏信、陳以文、そして、彼らが抱え続けた“空白の記憶”を知ろうとする子どもたち、孫たちの姿がある。「なぜ、戦争のことを語らなかったのか。なぜ、帰還後も苦しみ続けていたのか」。監督・許明淳(コー・ビンスン)はシベリア鉄道に乗り、彼らの帰還までの道を辿っていく。また台湾、日本を巡り、残された写真や手紙、録音テープ、そして断片的な記憶を丹念に拾い集め、沈黙の奥に封じ込められた感情を掘り起こしていく。旅の果てに浮かび上がるのは、時代に翻弄されながらも確かに存在した一人ひとりの人生。「わたしたちは、一体何者だったのか」。本作はこれまで語られることのなかった声に静かに耳を傾ける。戦後 80 年を経た今、三世代にわたり続いてきたいくつもの傷跡と向き合うために――。
出演:呉正男 陳以文 許敏信
監督:コー・ビンスン(許明淳)
プロデューサー:リー・ジアウェン(李嘉雯)
編集スーパーバイザー|リン・シンミン(林欣民)
編集:シュエ・ジェンシュエン(薛建軒)
撮影:リン・シェン(林申) ワン・インシュン(王盈舜)
製作:多面向影像工作室
原題 『冰封的記憶』 英題 『Memories Frozen in Time』
日本語字幕:神部明世 監修協力:栖来ひかり
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
配給・宣伝:太秦
【2025 年/台湾/85 分/DCP/5.1ch/台湾語・日本語・中国語】
©多面向影像工作室
▶︎2026年9月5日より公開
《当日料金》一般:1,900円/大学・専門学生:1,400円(学生証の提示が必要)/シニア:(60歳以上)1,400円/会員:1,300円(会員証の提示が必要・同伴1名まで同額割引)/障がい者割引:1,300円(手帳の提示が必要・付添いの方1名まで同額割引)
毎月1日映画サービスデー:一律1,300円/毎週月曜日サービスデー:一律1,300円












