作品案内

〈特別上映〉Arts in Everyday 2025 − ジョン・ケージとオノ・ヨーコ

上映日程: 11月19日

りんご、歯ブラシ、そして『グレープフルーツ』。
――17歳のシンディ・ローパーが家を出るとき、手にしたのはその3つだった。
オノ・ヨーコの『グレープフルーツ』は言葉による楽譜。彼女にとって「芸術を通して世界を見るための指示書」だった。


本作『Arts in Everyday 2025 − ジョン・ケージとオノ・ヨーコ』は、観る者が日常(=世界)をアートとして見直すきっかけとなるよう制作された。2025年5月11日、代官山ヒルサイドプラザで行われた演奏会を全編ノーカットで収録したコンサート・フィルム。

出演・総合演出は、ノコギリという楽器を自在に操り「日常風景を楽譜に見立てる」映像音楽作品で知られる音楽家・西村直晃。『タモリ倶楽部』〈街には楽譜があふれてる!偶然日常音楽祭〉やNHK 総合『ドキュメント20min.』〈日常にドレミを〉では、日常を楽譜化する西村に密着し、音と生活の関係を組み替える人物として描かれている。本作では、オノ・ヨーコの『グレープフルーツ』をパフォーマンスとして堅実にリアライズし、〈からだバンド水面下〉は見事に身体表現として展開している。

衣装・美術はアーティストの村上美知瑠が担当。彼女は映画『拘束のドローイング9』でマシュー・バーニーとビョークの衣装を手がけており、本作ではジョン・ケージのトレードマークであるカバーオール(作業着)に着想を得た独創的な新作衣装を、「日常=アート」という公演コンセプトの中に溶け込ませている。

監督はクラシック・ピアニストの横山博。カメラマン白岩義行の作品に宿るリズムと緊張感に魅せられ、本作の撮影を託した。当初は記録目的だったが、完成した映像には、演奏会という一期一会のリズムがそのまま息づいている。横山はオノの『カット・ピース』を、ジョン・ケージの沈黙の音楽『4分33秒』のように「演奏」した。60年代のオノ・ヨーコをジョン・ケージ、一柳慧、小杉武久らと並ぶ実験音楽の作曲家として、現代音楽(コンテンポラリー・クラシカル)の文脈に置き直す試みである。

舞台となったのは、代官山ヒルサイドテラス内の「集会所」ヒルサイドプラザ。建築家・槇文彦(代表作:スパイラル、幕張メッセ、4ワールドトレードセンターなど)によって構想されたヒルサイドテラスは、かつて同潤会アパートが建っていた代官山の街並みに連なる“街のような建築”として、1967年に構想された。その集落的な構造が、本作に“場の記憶”を呼び起こしている。

オノ・ヨーコが1960年代にニューヨークで実験芸術の最前線にいたという事実を、もう一人のジョン――1962年に初来日したジョン・ケージの視点から照らし返す。「偶然性」と「一期一会」の構造は、スクリーンの上でも鮮やかに息づいている。

監督: 横山博
出演: 西村直晃、からだバンド水面下(Osono/青沼沙季/吉沢楓)、横山博、観客の皆さま
エンドクレジット音楽: ジョン・ケージ《夢》(演奏:横山博|2023年ライブ録音)

提供: office zero
2025年/日本・日本語/144分

2025年11月19日(水)19:00より1回上映 上映後トークあり
お申し込みはこちらから
(シアター・イメージフォーラムのチケット販売ページでは受け付けておりませんのでご注意ください)
《料金》一律:2,000円

オフィシャルサイトはこちら