作品案内

MOTHERLAND マザーランド

上映日程: 7月4日〜終了未定

リトアニア生まれの母とアメリカ生まれの息子。移り変わるこの国で、ふたりの世界が揺れ動く。

ある夏の日。アメリカから来た12歳のコヴァスは、初めて母の故郷であるリトアニアを訪れる。母ヴィクトリアは、離婚をきっかけに、かつて暮らしていた土地を取り戻し、息子とともに新しい生活を始めようとしていた。
新しい国として歩み始めたリトアニア。人の気配がまばらな街並み、やけに大きく感じられる空。眩しい日差しが降り注ぐなかで、コヴァスの目に映る景色は、見慣れない光景だった。両親の離婚からまだ立ち直れていないコヴァスは、この夏休みで気持ちを紛らわせたいと思っていた。お菓子を手に、ほんの少し背伸びをするように歳の近い子どもたちの輪に入ろうとするが、一歩引いてしまい、うまく馴染めない。
そんななか、ふたりはヴィクトリアの昔からの友人ロマスと、その娘マリアと会うことに。コヴァスは、ヴィクトリアとロマスの仲の良さがどこか気になりながら、マリアと過ごす時間が日常の一部になっていく。
そのころ、ヴィクトリアが取り戻そうとしている昔の家には、別の家族が暮らしていることを知る。噛み合わないまま話を続ける大人たちを、コヴァスはただ見ていることしかできない。少しずつ、これまで知らなかった母の秘めた一面と、その故郷リトアニアに息づく時間に触れていく。この夏、コヴァスはまだ見ぬ世界に出会う――。

本作の舞台は、歴史の転換期であった1992年、ソ連からの独立を果たして間もないリトアニア。新しい時代を歩みだしたばかりの、不安定な状況にあった頃、アメリカからきた母と息子がリトアニアを訪れる。遠い記憶がほどかれるように、物語は静かに動き出す。
トーマス・ヴェングリス監督の初の長編劇映画となる本作。監督自身がワシントンD.C.でリトアニア移民の息子として育った経験をもとに、その物語とテーマは生み出された。前作となる卒業制作の短編映画『KALIFORNIJA』はリトアニア移民を題材に描かれ、学生アカデミー賞の全米ファイナリストに選出。米国で最も優れた学生映画の一つとして高い評価を受けた。続く短編映画『SQUIRREL』は2015年ベルリン国際映画祭で上映されるなど注目を集め、その後、テレンス・マリック、ケリー・ライカートら名だたる監督のもとで編集助手として経験を重ね、本作で長編監督デビューを果たした。
少年コヴァスを演じるのはマータス・メトレフスキ。彼自身もアメリカ生まれでありながら、家族のルーツであるリトアニアを身近に感じて育った。撮影当時、役と同じ年齢だった彼のまなざしは、戸惑いや好奇心、言葉にならない感情をそのまま映し出している。
母ヴィクトリヤを演じるのは、リトアニアを代表する俳優セヴィリヤ・ヤノシャウスカイテ。本作では、記憶の中の故郷と向き合いながら、失われた時間を取り戻そうとする姿を繊細に体現し、リトアニア国立映画祭にて最優秀主演女優賞を受賞した。
コヴァスの視点を通して、ヴィクトリヤのルーツである土地をめぐる過程で、移りゆく時代の渦中、その狭間を生きる人々の姿や、故郷を追われた心情、そして当時のリトアニアが浮かび上がる。独立を迎えたばかりのリトアニアを背景に「祖国」とは何かという問いと揺らぐアイデンティティを見つめ、叙情的で現在へと響く物語がここに生まれた。

監督・脚本:トーマス・ヴェングリス
出演:マータス・メトレフスキ、セヴィリヤ・ヤノシャウスカイテ、ダーリウス・グマウスカス、バルボラ・バレイキテ

2019年/リトアニア、ラトビア、ドイツ、ギリシャ/96分/シネマスコープ/原題:GIMTINE
配給:太秦
(C)2019 Studio Uljana Kim / Locomotive Productions

▶︎2026年7月4日より公開
●特別前売券1,600円当劇場窓口にて発売中(オンラインチケット予約には使用できません。7/3までのお取り扱いです。)

《当日料金:1作品あたり》一般:1,900円/大学・専門学生:1,400円(学生証の提示が必要)/シニア:(60歳以上)1,400円/会員:1,300円(会員証の提示が必要・同伴1名まで同額割引)/障がい者割引:1,300円(手帳の提示が必要・付添いの方1名まで同額割引)
毎月1日映画サービスデー:一律1,300円/毎週月曜日サービスデー:一律1,300円

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