作品案内

〈特集上映〉追悼・大木裕之 撮ることと生きること

上映日程: 3月14日〜3月27日

2025年10月14日、大木裕之は突然この世から去ってしまった。
彼は1980年代から映画制作を開始、初期には無編集の日記映画スタイルが観客に衝撃を与えた。その後、ライブ上映、パフォーマンス、ドローイングなど、表現を拡張させながら映画や美術の垣根を越え、常にスキャダラスな存在として駆け抜けてきた。稀代の表現者・大木裕之の軌跡を振り返る特集上映。

【大木裕之】
1964年東京都生まれ。東京大学工学部建築学科在学中の80年代前半より映画制作を開始。大学卒業後にイメージフォーラム映像研究所に通い、3時間に及ぶ大作『松前君の映画』(1989)を卒業制作として発表。翌1990年には『遊泳禁止』でイメージフォーラム·フェスティバル1990審査員特別賞を受賞、「ランボーの末裔」と絶賛される。その後、高知を創作の拠点のひとつとし、1996年には、高知県立美術館製作による『HEAVEN-6-BOX』で第46回ベルリン国際映画祭フォーラム部門ネットパック賞を受賞。国際的な評価が高まる。その後、映画分野のみならず、ライブ上映、インスタレーション、パフォーマンス、ドローイングなど、映像と美術の垣根を越えて刺激的な創作活動を続けた。上記の他、山形国際ドキュメンタリー映画祭、ロッテルダム国際映画祭など数多くの国際映画祭に招待されたほか、「六本木クロッシング」、「あいちトリエンナーレ」など美術展での展示も多数。2025年10月14日逝去。

【上映プログラム】

A
松前君の映画/8ミリ(デジタル版)/180分/1988-1989
撮影対象やストーリーなどの観念が先行するわけではなく、撮影する行為そのものによって作者の思考や被写体との関係が変化して映画が生まれる。1988年の大晦日から89年の新年にかけて松前で20日間撮影を行ない、無編集で構成した「松前君」シリーズの第1作。イメージフォーラム映像研究所の卒業制作として制作された。

B
遊泳禁止/8ミリ(デジタル版)/89分/1989
1989年7月〜8月の22日間の記録と、途中に挿入される大木の過去作とで構成される日記的映画。時間と空間を切り取ることへの異様なまでの執着にフィルムに対する切実な思いが滲み出ている。イメージフォーラム・フェスティバル1990で審査員特別賞を受賞。審査員のドミニク・ノゲーズから「ランボーの末裔」と讃えられた。

C
あなたがすきです、だいすきです/35ミリ/58分/1994/製作・配給:ENKプロモーション R18+
大木裕之のゲイ・ピンク作品第1作で、街で見かけた青年に一目ぼれしてしまった青年とその恋人との日常をつづった作品。手持ちカメラによる撮影や高知でのロケーション撮影が瑞々しい印象を与える。2022年に国立映画アーカイブに収蔵された。
※DVDでの上映です。ご了承ください。

D
色風/8ミリ(デジタル版)/10分/1991
ターチ・トリップ/16ミリ/64分/1993/製作:ユルゲン・ブリューニンク・フィルム・プロダクション、配給:スタンス・カンパニー/提供:福岡市総合図書館
1992年、高知。太陽が陰り、嵐のような強風が吹き付ける街角。この世とあの世の狭間を漂うようなカメラが、この町に生きる若者たちの輪郭をつぶさに見つめる。ポンピドゥー・センターほかで発表され国際的な注目を集めた、初期の代表作『ターチ・トリップ』。また本作に先駆け、夏の高知の光をスタティックな撮影で繊細に捉えた短編『色風』も併映。

E
移動教室/8ミリ(デジタル版)/23分/1986
HEAVEN-6-BOX/16ミリ(デジタル版)/60分/1995/製作・所蔵:高知県立美術館、配給:ダゲレオ出版
天国からの光が降り注ぐ街、高知。10分×6セクション(箱)という厳密な構造のもと、JR旭駅前をはじめとした高知の風景や人々の営みの断片が、神秘的かつノイジーに交錯する。高知県美術館製作による大木裕之の代表作の1本。第46回ベルリン国際映画祭フォーラム部門ネットパック賞受賞。イメージフォーラム映像研究所以前の初期作品のひとつ『移動教室』を併映。

F
優勝 ―Renaissance/16ミリ(デジタル版)/88分/1995-1998 /制作:JEANS FACTORY
JEANS FACTORYテレビCM集(12分)
映像による四国4県の巡礼の旅。合田佐和子、高崎元尚など高知ゆかりの美術家も出演し、山や海を舞台に神話を想起させる幻想的な光景がカメラに収められる。本作の素材などを編集して大木裕之が90年代に制作したJEANS FACTORYのテレビCM集を併映。大木作品が毎日地上波で放送されていた!

G
3+1/16ミリ/82分/1997/企画:愛知芸術文化センター、制作:愛知県文化情報センター
愛知芸術文化センターが「身体」をテーマにプロデュースしているオリジナル映像作品の1本。96年7月の沖縄、8月の高知、9月の名古屋をそれぞれ、16ミリ、8ミリ、8ミリビデオで撮影。さらに9月24日に行なわれた公演「舟の丘、水の舞台」をデジタルビデオで撮影した映像を、公演の構成に即して重ね合わせている。

H
心の中/16ミリ/89分/1997-1998/製作:リカコ・カンパニー
1997年5月7日から1998年5月6日まで、全国を横断して撮影された素材が即興的にオーバーラップされ、「心の中」の物語を紡いでいく。海辺で「心中」を演じる二人の青年の姿を日記的映像とフィクションを織り交ぜて描いている。

I
松前君の旋律/16ミリ(デジタル版)/50分/1992
木三(ムミ)/デジタル/30分/2024-2025
『木三(ムミ)』は香川でのワークショップから生まれた「デジ」シリーズ中の作品。毎年8/21から8/31の10日間に撮影を行ない、さらに9/18から9/28の10日間に撮影された映像も重ねられ、10年サイクルで作品を制作していた。大木が亡くなる直前に完成した最終版を上映。大木の撮影と編集のセンスが光る16ミリ作品『松前君の旋律』を併映。

J
光景獲り/16ミリ(デジタル版)/5分/1991
メイドオンザバルコニー 2006/2010/デジタル/12分/2006-2010
メイⅣ/デジタル/50分/2019~2023
『メイⅣ』は毎年5月に撮影が行われ、5年分の素材で1作品が構成される「メイ」シリーズの第4作。「美(中国語読みで“メイ”)とは何か」を探求する大木のカメラがとらえた、一見脈絡のない断片的なシーンを膨大に集積してゆくことで、“ 生”の全体性の再構築が図られる。短編作品『光景獲り』、『メイドオンザバルコニー』を併映。

K
松前君の絵日記/8ミリ(デジタル版)/6分/1988
松前君とトヨタ君の映画/デジタル/60分/2024-2025/製作・所蔵:豊田市美術館
イメージフォーラム映像研究所の課題として制作された「松前君」をタイトルに冠した最初の映像作品『松前君の絵日記』と、豊田市美術館の「しないでおく、こと。―芸術と生のアナキズム」展に合わせて制作された「松前君」シリーズの最後の作品『松前君とトヨタ君の映画』を上映。

【上映スケジュール】連日21:00より(3/17火は19:00より上映



トークショー
3/20(金)上映後 村山匡一郎(映画評論家)+石田尚志(画家、映像作家)
3/21(土)上映後 柳下毅一郎(映画評論家/特殊翻訳家)
3/25(水)上映後 越後谷卓司(多摩美術大学教授)

企画:株式会社ダゲレオ出版
協力:西村知巳、ANOMALY

《当日料金》一般:1,500円/大学・専門学生:1,300円(学生証の提示が必要)/シニア:(60歳以上)1,300円/会員:1,300円(会員証の提示が必要・同伴1名まで同額割引)/障がい者割引:1,300円(手帳の提示が必要・付添いの方1名まで同額割引)
毎月1日映画サービスデー:一律1,300円/毎週月曜日サービスデー:一律1,300円