2025.08.08 『砂時計サナトリウム』ブラザーズ・クエイへのQ&Aとスペシャル映像を公開しました

『砂時計サナトリウム』監督であるクエイ兄弟へのQ&Aとスペシャル映像を公開しました。
Q,『砂時計サナトリウム』で お気に入りのシーンを教えてください。
A,(クエイ兄弟) 「お気に入りのシーン」というのは特にありませんが、 私たちにとって極めて重要だったのは、 作品の視覚的・音響的な世界を すぐに確立することでした。 そのため、 最初にアニメーションを制作したのは、 列車の旅のオープニングシーンでした。 ヨゼフが無数の棺桶に囲まれて列車内に孤立し、 その後列車が広大なガリツィアの風景を 走り抜けていく場面です。 これらのシーンの質感を、 音楽や音響の世界観とともに厳密に確立した後、 ようやく映画の残りの部分の アニメーション制作に取りかかりました (それにさらに19年を費やすことになります)。
Q,クリストファー・ノーランによる 短編『QUAY』の限定上映を行いました。 あの撮影について、 印象的なエピソードや思い出があれば ぜひ教えてください。
A,(クエイ兄弟) 私たちの古いスタジオで 1日だけ行われた撮影でしたが、 クリストファーは2人のアシスタント (1人は音響、もう1人はカメラ補助)と 共に来てくれました。 とても感動したのは、 クリストファー自身が大きな35mmカメラを 自ら肩に担ぎ、 スタジオ内の狭い場所を巧みに通り抜けながら、 何にもぶつけることなく撮影していたことです。
Q,次回作についてお聞かせください。 差し支えなければ詳細もぜひ。
A,(クエイ兄弟) カール・オルフの『ムジカ・ポエティカ』の 6枚組CD(元々は10枚組LPとして発売されたもの)に 取り組んでいます。 バイエルンのテルツ少年合唱団のソリスト 小編成の器楽・打楽器アンサンブルとともに、 無名の民謡テキストや 謎めいたなぞなぞを用いた作品で、 稀有で非現実的な美しさを持つ 音楽に語りと歌が組み合わさっています。 半年以上かけて舞台装置や人形を制作してきましたが、 まだ明確な脚本は存在せず、 人形と装置、音楽の「挑発」だけがある状態です。 とはいえ、いつもどおり、 脚本は必然的に生まれるだろうと確信しています。
Q, SNSで多くの観客が 「『砂時計サナトリウム』を観ていると 眠りに落ちるような、 あるいはどこかへ浮遊していくような感覚を覚える」と語っています。 このことについてどう思われますか?
A,(クエイ兄弟) おそらくこの冒頭の列車の旅が、 催眠のような音響とともに列車がゆったりと揺れ、 光が途切れなく通り過ぎていく様子、音楽、 そしてゆったりとした語り口が、 眠りと覚醒のあいだのような 一種の魔法をかけていたのだと思います。
Q,最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
A,(クエイ兄弟) 残念ながら、これまで日本をテーマにした作品は 制作していませんが、 私たちの作品に多大な影響を与えてくれたのが、 あなた方日本の皆さんです。 1960年代後半に初めて観た日本映画、 素晴らしい監督たち ──溝口、小津、黒澤、市川崑、小林、篠田、 そして近年では清水崇、そしてもちろん宮崎駿── それらは私たちの創作の礎となっています。 また、驚異的な文楽人形劇を含む 日本の演劇、文学、建築、音楽も 深く影響を与えてくれました。 30年ほど前に初めて東京を訪れた際には、 武満徹の映画音楽集5枚組CDセットを見つけて 感激したものです。 さらに、日本の版画家たちは、 官能的な幻想世界を生み出すことのできる 稀有な才能を持っています。 ですので、私たちのほうこそ、 日本の皆さまに心から感謝を申し上げたいのです。













