『薔薇の葬列』公開40周年 幻視の美学・松本俊夫映画回顧展

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上映作品

薔薇の葬列

薔薇の葬列

■『薔薇の葬列』

松本プロダクション+日本ATG提携作品/1969年/モノクロ/スタンダード/1時間47 分/ニュープリント版/配給:ダゲレオ出版

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修羅

修羅

■『修羅』

松本プロダクション+日本ATG提携作品/パートカラー/スタンダード/1971年/2時間14分/ニュープリント版/配給:ダゲレオ出版

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ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

■『ドグラ・マグラ』

活人堂シネマ作品/カラー/ビスタ/1988年/1時間49分/1988年ベルリン国際映画祭出品

「映像化不可能」と言われていた日本文学を代表する奇書、夢野久作の『ドグラマグラ』を初めて映画化。謎が謎を呼ぶ迷宮的な物語世界を松本俊夫が魔術的な視覚効果と話法で巧みに紡ぎ出した。上方を代表する天才的な落語家、桂枝雀が主要人物の正木博士を怪演、映画に異様な迫力を与えている。

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 十六歳の戦争

十六歳の戦争

■『十六歳の戦争』

サンオフィス作品/カラー/シネマスコープ/1974年/1時間34分/配給:サンオフィス

8月7日の豊川大空襲の慰霊祭を背景に、若い男女の出会いを描いた作品.秋の野原を駆け、湖のほとりで悲しみに沈み、みずみずしい裸体で水と戯れる秋吉久美子の姿が目に眩しい.当時売れっ子のフォークシンガー下田逸朗の「日の当たる翼」に載せて描いた映像詩であると同時に、いまも残る戦争の傷跡を凝視し、無為の詩を余儀なくされた多くの死者たちに捧げた鎮魂歌である。

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松本俊夫実験映画集

映像作家としての原点である前衛的なドキュメンタリーから、70年代にいち早く取り 組んだビデオ映像を駆使した作品など、松本俊夫の作家としてのコアとなる活動を紹 介.松本が生みだした鮮烈な映像の数々は、後のアーティストたちのインスピ レーショ ンであり続けている。

松本俊夫実験映画特集program A

◎ program A 詩としての映像(87分)

西陣

■『西陣』(35ミリ/26分/1961)撮影:宮島義勇

京都でユニークな活動をしていた記録映画の鑑賞組織が、芸術運動として映画の自主製作をプロデュースした作品。西陣や西陣織についての観光映画や産業PR映画をねらった物ではなく、短いクロース・アップのショットを多用し、閉塞した空間の鬱屈に、安保挫折後の空洞感や不在感をダブル・イメージしている。

※第13回ヴェネチア国際記録映画祭サン・マルコ金獅子賞受賞

石の詩

■『石の詩』(16ミリ/25分/1963)音楽:秋山邦晴

TBSのドキュメンタリー番組から委嘱された作品。「ライフ」のカメラマンのアーネスト・サトウが香川の石切り場で撮影した数百枚の写真をもとに構成されており、3日間でグラフ・コンテを描きあげ、約10日間で完成させた。評価は賛否両論に分かれたが、クリス・マルケル(『ラ・ジュテ』監督)、ジョルジュ・サドゥール(「世界映画史」著者)らに高く評価された。

母たち

■『母たち』(16ミリ/36分/1967)詩:寺山修司、声:岸田今日子、音楽:湯浅譲二

『石の詩』以降、映画・テレビ業界から仕事を干され、3年半のブランクの後に手がけた作品。プリマハムのPR映画で、アメリカ、フランス、ヴェトナム、ガーナの4ヶ国を、40日間で脚本なしで即興的に撮影した。鈴木達夫の斬新なカメラワークに寺山修司の詩、湯浅譲二の音楽が加わり、密度の高い詩情を醸し出している。

※第18回ヴェネチア国際記録映画祭サン・マルコ金獅子賞受賞子

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松本俊夫実験映画特集program B

◎ program B 視想の錬金術(92分)

つぶれかかった右眼のために

■『つぶれかかった右眼のために』(16ミリ /13分/1968)音楽:秋山邦晴

1968年という世界史的な変動の年を表現すべく従来の方法を捨て、3面マルチ上映を採用。既存の映画の枠組みをはみ出すこうした作品はエクスパンデッド・シネマ(拡張映画)と呼ばれた。
*1月24日(土)の上映の時は3面マルチ上映その他はDLP上映

エクスタシス<恍惚>

■『エクスタシス<恍惚>』(35ミリ/10分/1969)音楽:松本俊夫

ズームを繰り返すハイコントラストの白黒映像を中心に構成された作品。ノイズを使った音響とあいまって、生理的、心理的な恍惚状態を導き出す。

メタシタシス<新陳代謝>

■『メタシタシス<新陳代謝>』(16ミリ/8分/1971)音楽:一柳慧

医学・工学用に開発された測定装置を使った映像作品。「一瞬前の形と色が、次の瞬間別の形と色に変貌してゆくイメージにひかれ、そこに生命の根源的リズムを連想してこれを作った」(松本俊夫)

モナ・リザ

■『モナ・リザ』(16ミリ/3分/1973)

“スキャニメイト”と呼ばれるアナログ・コンピュータによるアニメーション・システムを使って、モナ・リザの肖像を核に様々なイメージを合成し、不思議な妄想世界を生み出している。74年にニューヨーク近代美術館で開かれた世界初のビデオアートの上映会に招待された。

ファントム<幻妄>

■『ファントム<幻妄>』(16ミリ/10分/1975)(ニュープリント)音楽:近藤譲

一人の若い女性の白昼夢という設定で、瞼の裏に浮かぶ奇妙な反世界の雰囲気を表現。撮影には赤外線フィルムを使用している。

アートマン

■『アートマン』(16ミリ/11分/1975)音楽:一柳慧

静止画をコマ撮りすることにより現実では不可能なカメラワークを実現した、『マトリックス』へと繋がる先駆的作品。般若の面を被った人物を被写体とした約2,500種類の静止画で構成されている。

ホワイトホール

■『ホワイトホール』(16ミリ/7分/1979)(ニュープリント)音楽:湯浅譲二

ウパニシャッド哲学のブラフマン(大宇宙)に自分を同一化していく幻想を映像化。『エニグマ』と同じくスキャニメイトとタイトル撮影装置を組み合わせて撮影されている。

■『気=Breathing』(ビデオ/30分/1980)音楽:武満徹

欧米を巡回した磯崎新の企画構成による「日本の時空間<間>」展の上映作品として制作された。「霧」、「風」、「波」を素材とした3部構成で、視覚的な実験を行なっている。音楽は武満徹が担当している。

※第27回オーバーハウゼン国際短編映画祭最高賞(メインプライズ)受賞


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松本俊夫実験映画特集program C

◎ program C 反復と変容(85分)

エクスパンション<拡張>

■『エクスパンション<拡張>』(16ミリ/14分/1972)音楽:一柳慧

電子的カラーライザーにより素材を加工、変形して制作されている。即興的なオペレーションにより一種の心理的恍惚状態を作り出し、意識や感性の「拡張」を狙った作品。

アンディ・ウォーホル=複々製

■『アンディ・ウォーホル=複々製』(16ミリ/23分/1974)音楽:湯浅譲二

74年に来日したウォーホルを撮影。第1次撮影でマルチレンズを使って空間を複製・増殖し、再撮影で各コマの時間的複製・増殖をはかった。「ウォーホルの犯罪をあばく方法。それは彼自身を二重三重に複製・増殖することだ」(松本俊夫)。

色即是空

■『色即是空』(16ミリ/8分/1975)音楽:一柳慧

「般若心経」の266文字が5回くりかえされる間にイメージを変換しつつ、「五官の世界」、「五官の対象としての色(=現象)の世界」、「真の宇宙原理を模索する瞑想の世界」を経て、「空の世界」へと到達する。

エニグマ<謎>

■『エニグマ<謎>』(16ミリ/3分/1978)

夢で見た死のイメージを映像化すべく、スキャニメイトとタイトル撮影用の巻き取り装置を組み合わせて、現代の3DCGのような作品に仕上がっている。当時ワン・ショット3分のビデオ・アートとして話題になった。

■『コネクション』(16ミリ/10分/1981)音楽:稲垣貴士

流れる雲の映像を素材に複雑なマスク合成を駆使して制作された作品。「コネクション」というタイトルは画面に表れる諸要素が刻々と関係性を変化させていく様子を示している。

リレーション<関係>

■『リレーション<関係>』(16ミリ/10分/1982)(ニュープリント)音楽:稲垣貴士

玄界灘の映像を素材として、時空間をずらした風景を合成している。当時出たばかりのデジタル・エフェクトを駆使した作品。

シフト<断層>

■『シフト<断層>』(16ミリ/9分/1982)(ニュープリント)音楽:稲垣貴士

画面を分割し、それぞれの時間を変化させていくことで空間をデフォルメする試み。「新しい時空間を生成する<イメージのアナグラム>を模索していた」(松本俊夫)。

※1983年アジア・アメリカ国際映画祭特別賞受賞

■『スウェイ<揺らぎ>』(16ミリ/8分/1985)音楽:稲垣貴士

西陣の釘板地蔵で撮影された呪術的な光景。パーフォレーションやエッジ・ナンバーを映しこむことで観客は映像とともにフィルムそのものを目にする。映画のリアリティとアニミスティックな経験を結びつける試み。


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松本俊夫実験映画特集program D

◎ program D 最初期と後期(76分)

銀輪

■『銀輪』(35ミリ/10分/1955)

日本自転車工業会の海外PR用短篇。松本俊夫が初めて演出した作品で、少年の自転車へのあこがれを幻想的な表現で映像化している。長らくフィルムが行方不明になっており、伝説的な作品とされていた。特殊効果を円谷英二が担当している。

※東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品 

■『白い長い線の記録』(35ミリ/13分/1960)

関西電力のPR映画として製作された作品。戦後の電源開発の歩みを実写映像、写真のコラージュ
ミニチュア撮影など、様々な技法を使って紹介する。

エングラム<記憶痕跡>

■『エングラム<記憶痕跡>』(16ミリ/13分/1987)(ニュープリント)音楽:稲垣貴士

誰もが無意識にしてしまう記憶の変形、捏造。「その新旧の記憶の痕跡どうしが浸触し合って、実際には経験していない別の文脈を紡いでゆく。そのあたりが、しきりに映画の文脈形成のあり方を触発するのだが……」(松本俊夫)。

■『気配』(ビデオ/20分/1990)

東欧の社会主義体制崩壊のニュースを目の当たりにし、自らのスターリン主義体験を交え、60年代以降、消息の知れないチェコの映画監督ヤン・ネメッツを回想するエッセイ的な作品。

■『DISSIMULATION<偽装>』(ビデオ/20分/1991)

事実と虚構の境界を揺さぶりながら、意味やイメージを多層的にこだまさせ合う文脈レベルの実験。「本音の隠し方に本音を表現しようとする僕が、いまこだわっているのはシミュレートすることでなくディシミュレートすることなのだ」(松本俊夫 )。


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