1932年、愛知県名古屋市生れ。東京大学文学部美学美術史学科卒業。新理研映画で記録映画『潜凾』(56)を初演出、退社後「記録映画」「映画批評」等の雑誌で映画理論家として活動しつつ、『安保条約』(59)、『西陣』(61)、『石の詩』(63)、等のドキュメンタリー映画を手がける。68年には『薔薇の葬列』で劇映画に進出、つづいて『修羅』(71)、『十六歳の戦争』(73、公開は76年)、そして夢野久作の同題探偵小説を映画化した『ドグラ・マグラ』(88)等の劇映画作品を監督した。一方、『メタスタシス=新陳代謝』(71)、『アートマン』(75)、『気 Breathing』(80)、『偽装 ディシミュレーション』(92)等の斬新な実験映画で、日本の代表的な実験映画作家の一人と目されている。また、現在は日本大学芸術学部大学院で教授として後進の指導にも当たっている。著書に『映像の発見』、『映像の探求』(三一書房)、『幻視の美学』(フィルムアート社)他がある。

『銀輪』
実験映画/企画、脚本参加、助監督、仕上げ監督/35ミリ//C/10分/1955年
『潜凾』
記録映画/16ミリ/B&W/20分/1956年
『春を呼ぶ子ら』
記録映画/16ミリ/B&W/20分/1959年
『300トン・トレーラー』
記録映画/35ミリ/C/25分/1959年
『安保条約』
記録映画/16ミリ/B&W/18分/1959年
『白い長い線の記録』
実験映画/35ミリ/C/13分/1960年
『西陣』
映画詩/35ミリ/B&W/26分/1961年
『黒い長い影の記録』
ラジオドラマ/TBS/30分/1962年
『石の詩』
映画詩/16ミリ/B&W/25分/1963年
『嘘もほんとも裏から見れば』
演劇/劇団青俳/脚本・演出/2時間30分/1964年
『母たち』
映画詩/35ミリ/C/40分/1967年
『つぶれかかった右眼のために』
実験映画/マルチプロジェクション/16ミリ3台/13分/1968年
『マグネチック・スクランブル』
ビデオパフォーマンス/B&W/1968年
『イコンのためのプロジェクション』
インターメディア作品/16ミリ5台、オーバーヘッド2台、照明多数、直径4Mのビニール風船20個/15分/1969年
『エクスタシス』
実験映画/16ミリ/B&W/10分/1969年
『薔薇の葬列』
劇映画/出演:ピーター、土屋嘉男、小笠原修、内山豊三郎/製作:松本プロ+ATG/35ミリ/B&W/1時間47分/1969年 
『シャドウ』
インターメディア作品/回転ストロボと人体と影/時間無限/1969年
『スペース・プロジェクション・アコ』
インターメディア作品/大阪万国博/35ミリ10台、ステップ8台、一連の照明システム、彫像壁/15分/1970年
『修羅』
劇映画/出演:中村賀津雄、唐十郎、三条泰子/製作:松本プロ+ATG/35ミリ/B&W/2時間14分/1971年 
『メタスタシス 新陳代謝』
実験映画/16ミリ/C/8分/1971年
『オートノミー 自律性』
実験映画/16ミリ/C/12分/1972年
『エクスパンション 拡張』
実験映画/16ミリ/C/14分/1972年
『十六歳の戦争』
劇映画/出演:秋吉久美子、下田逸郎、嵯峨三智子/製作:サンオフィス/35ミリ/C/1時間34分/1973年
『モナ・リザ』
実験映画/16ミリ/C/3分/1973年
『マルチビデオのためのモナ・リザ』
ビデオインスタレーション/モニター10台/1974年
『フライ 飛ぶ』
実験映画/16ミリ/C/9分/1974年
『モーニング・デュー(あさつゆ)』
インターメディア・詩劇/映写機2台、スライド8台、照明、出演5名/1時間20分/1974年
『アンディ・ウォーホル:複々製』
実験映画/16ミリ/C/23分/1974年
『色即是空』
実験映画/16ミリ/C/8分/1975年
『青女』
実験映画/16ミリ/C/30分/1975年
『トータルシアター・葵の上』
インターメディア・前衛能/映写機1台、スライド2台、照明、出演3名/1時間/1975年
『ファントム 幻妄』
実験映画/16ミリ/C/l0分/1975年
『アートマン』
実験映画/16ミリ/C/l1分/1975年
『ユーテラス、子宮』
全天周マルチ映像/映写機2台、スライド6台/7分/1976年
『凧』
記録映画/16ミリ/C/30分/1976年
『ブラックホール』
実験映画/16ミリ/C/3分/1977年
『エニグマ 謎』
実験映画/16ミリ/C/3分/1978年
『ホワイトホール』
実験映画/16ミリ/C/7分/1979年
『水族館』
ビデオインスタレーション/モニター3台、水槽、魚/1979年
『コズミック・リレーション』
3D可動スクリーン装置映像/16ミリ3台/C/9分/1980年
『気 Breathing』
実験映画/16ミリ/C/30分/1980年
『コネクション』
実験映画/16ミリ/C/10分/1981年
『絵馬』
記録映画/16ミリ/C/30分/1982年
『リレーション 関係』
実験映画/16ミリ/C/10分//1982年
『シフト 断層』
実験映画/16ミリ/C/9分/1982年
『フォーメイション 形成』
実験映画/16ミリ/C/9分/1983年 
『WAVE』
実験映画/16ミリ/C/7分/1984年
『ディレイ・エクスポージャー』
実験映画/8ミリ/3分/1984年
『EEコントロール』
実験映画/8ミリ/3分/1985年
『バイブレーション』
実験映画/8ミリ/3分/1985年
『揺らぎ スウェイ』
実験映画/16ミリ/8分/1985年
『バイブレーション』
実験映画/8ミリ/3分/1985年
『マルチ・コネクション』
インスタレーション/16ミリ1台、モニター4台/1986年
『アーティキュレーション 文節』
インスタレーション/モニター6台、カメラ1台/1986年
『エングラム 記憶痕跡』
実験映画/16ミリ/15分/1987年
『ドグラ・マグラ』
劇映画/出演:桂枝雀、室田日出男、松田洋治/製作:活人堂シネマ/35ミリ/C/1時間49分/1988年
『ルミナス・グローブ』
インスタレーション/球体スクリーン+円環リアスクリーン/1989年
『トラウマ』
ビデオ/C/18分/1989年
『ウランド伝説』
メディアシアター/HDTV2台、レーザー他/60分/1990年
『気配』
ビデオ/C/20分/1990年
『ナラトロジーの罠』
インスタレーション/モニター23台、回転雲台、カメラ、砂スクリーン/1992年
『ディシミュレーション 偽装』
ビデオ/C/20分/1992年
表記注 ■8ミリ、16ミリ、35ミリはフィルム・サイズ ■Cはカラー、B&Wはモノクロ ■映像が大きな役割を担っている作品、他の映像作品との関連の強い作品(ラジオドラマ、演劇、パフォーマンス、インターメディア、インスタレーション、等)もこのフィルモグラフィに掲載しています。

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