土方巽 Hjikata Tatsumi

日本独自の舞踏の創始者。1928年、秋田に生まれる。'46年、18歳の頃よりダンスを習得。'49年、大野一雄舞踊公演に衝撃を受ける。'58年、土方巽の名でヨネヤマママコ、大野一雄と共演。'59年、「禁色」を大野慶人と共に発表、舞踊界に衝撃を与える。三島由紀夫、細江英公、澁澤龍彦らとの交流が始まる。主な舞台に「あんま」('62)、「バラ色ダンス」('65)、「肉体の反乱」('68)、「疱瘡譚」('72)、「夏の嵐」「静かな家」('73)などがある。「大駱駝艦・陽物神譚(特別出演)」('73)を最後に自ら踊ることはなく、'74年にアスベスト館に劇場開設、ここを拠点に構成、演出、後進の指導に当たります。細江英公による写真集「鎌鼬」('69)、著書に「犬の静脈に嫉妬することから」('76)、「病める舞姫」('83)、遺文集「美貌の青空」('87)、「土方巽全集」('98)などがある。1986年、享年57歳で逝去。

出演映画
『ジャズ娘誕生』(監督:春原政久/主演:江利チエミ/日活/1957年)
『犠牲』(監督:ドナルド・リチー/主演:土方巽(?)/短編/1959年)
『へそと原爆』(監督:細江英公/主演:土方巽/1960年)
『戦争ごっこ』(監督:ドナルド・リチー/振付:土方巽/短編/16ミリ/1961年)
『紅閏夢』
(監督:武智鉄二/原作:谷崎潤一郎/1964年)
『元禄女系図』
(監督:石井輝男/タイトルバック演出も/東映/1969年)
『猟奇女犯罪史』(監督:石井輝男/阿部定と共演/東映/1969年)
『恐怖奇形人間』(監督:石井輝男/一部演出振付も/東映/1969年)
『臍殿下』(監督:西江孝之/主演:榎本健一/日本映画研究所/1969年)
『日本の悪霊』(監督:黒木和雄/ATG/1970年)
『怪談・昇り龍』(監督:石井輝男/日活・ダイニチ/1970年)
『誕生』(監督:秋山智弘/脚本:谷川俊太郎/作曲:黛敏郎/主演:土方巽/学研/1970年)
『闇の中の魑魅魍魎』(監督:中平康/中平プロ・東宝/1971年)
『卑弥呼』(監督:篠田正浩/ATG/1973年)
『陽物神譚』(監督:鈴村靖爾/1975年)
『風の景色』(監督;大内田圭弥/主演:土方巽/1976年)
『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(監督:小川紳介/1987年)
『土方巽 夏の嵐』(本作)
他にも短編の記録映像が何作品かあります。


監督:荒井美三雄 Arai MIsao

1938年、東京に生まれる。東映・京都撮影所に入社。'68年、『元禄女系図』(石井輝男監督)で土方巽に出会う。'69年、監督第一作『温泉ポン引き女中』で土方巽構成・暗黒舞踏派出演のショー場面を演出。以後、4本の劇映画を監督。'73年、関西で初めての土方巽自身の出演による舞踏公演を京都で実現、舞台撮影を行う。30年間これを封印、2003年、新たなパートを撮影して『土方巽 夏の嵐』として完成させた。