ニューフィルム・インターナショナル

手への回帰:ドローイング・アニメーションの力

 「手書きのアニメーションは、完璧ではないので、そこかしこに欠点がある。でも人は完璧なものより、多少欠点のあるものに心を奪われる。出っぱりや揺らぎに親近感を感じるのは、きっとそれがあることで物体や作品が僕ら人間に近づくからなんだ。ドン・ハーツフェル ト。特集「手への回帰:ドローイング・アニメーションの力」で上映する作家たちは、絵を描くだけでなく、撮影も自分の手で一コマ一コマ行っている。なぜか愛着を禁じ得ないドローイング・アニメーションの傑作を集成した。

追憶のビデオテープ

 ビデオの歴史が半世紀を過ぎようとしている現在、フィルムの縦キズや埃と同様、ビデオテープの画像は"過去"や"古さ"を表すイコンの仲間入りをしようとしている。1973年に撮影された素材が新作として現代に甦った『ストランデッド・イン・カントン』と、あえてVHSを 使って制作されたハーモニー・コリンの『トラッシュ・ハンパーズ』では、ビデオ独特の粗い質感が、私たちの記憶を不思議な程刺激する。