ウリリは黒魔術の夢をみた

“マイケル・ジョーダンになれと、ママは、血を捧げました” 現代フィリピンの新鋭が黒くオフビートに描く奇妙で愛すべき真夏の悪夢。
フィリピン映画シーンの最先端をゆく時代の寵児ティミー・ハーンによる長編劇映画『ウリリは黒魔術の夢をみた』が、世界的パンデミックで上映が危ぶまれた中、満を持して日本初上陸する。本作は白石和彌監督やグザヴィエ・ドラン監督など次世代を代表する新人監督にフューチャーしたロッテルダム国際映画祭のBright Future部門に正式出品されたお墨付き。ラヴ・ディアスを彷彿とさせるモノクロームの質感と、ダニエル・クロウズ風の不条理な世界観、そしてポストコロニアルに生きる現代フィリピン人のアイデンティティが融合した、オフビートな”真夏の悪夢”が疾走する。
撮影の舞台となったのは、アジア最大のアメリカ海軍基地の跡地にできた経済特区スービック。この街は1991年に襲ったピナトゥボ火山大噴火がきっかけでフィリピンへ基地が返還されたという背景を持つ、アメリカとフィリピンとのエディプス的な関係性を象徴する場所。そこが火山という原始的なパワーで破壊されたという事実は、フィリピン全土に大きな衝撃を与えた。フィリピンに深いアイデンティティを持つネイティブな才能たちは、その衝撃さえもユニークな映画へと昇華させ、エンターテインメント中心のなかで新しいシーンを作り始めている。社会問題をファンタジックに描いたアニメ作品のカール・ジョセフ・パパ(『行方不明』OAFF2024)、「闘鶏」というモチーフを通してフィリピン社会の闇をドキュメンタリーで斬るブライアン・ブラジル(『Lost Sabungeros』QCinema2024)。そしてユニークなアート表現に挑戦しているのがティミー・ハーン。全編フィリピン語のタガログ・パワー漲る若さ溢れる「アフター・ピナトゥボ」ムービーが、ここに爆誕する。
監督:ティミー・ハーン/脚本・製作:ティミー・ハーン、マリヤ・ヴィンチェンテ
出演:イヴ・バガディオン、バーバラ・ルアロ、エイドリアン・ヴェルガラ、マーカス・アドロ、カワヤン・デ・ギア、チャールズ・アーロン・サラザール、ジェット・B. ライコ
2018年/フィリピン/124分/R15/言語:タガログ語・英語/DCP/宣伝・配給:SOMEONESGARDEN
▶︎2025年4月5日(土)より公開
《当日料金》一般:1,900円/大学・専門学生:1,400円(学生証の提示が必要)/シニア:(60歳以上)1,400円/会員:1,300円(会員証の提示が必要・同伴1名まで同額割引)/障がい者割引:1,300円(手帳の提示が必要・付添いの方1名まで同額割引)
毎月1日映画サービスデー:一律1,300円/毎週月曜日サービスデー:一律1,300円