作品案内

海でなくてどこに Where but into the sea

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上映日程: 2月28日

戦時期の日本とユダヤ難民の物語が交錯する

マリア・カム(1920−2019)と弟のマーセル・ウェイランド(1927年−)は、1939年9月、ナチスによるポーランド侵攻にともない、家族とともに故郷であるポーランドのウッチを離れ、未知への旅に出た。1年数か月のリトアニア滞在後、当時在リトアニア日本領事館で外交官・杉原千畝が発給した日本通過ヴィザを手に、シベリア横断鉄道でウラジオストックへ。そしてそこから日本の蒸気船「天草丸」に乗り、敦賀に上陸した。神戸で7か月を過ごしたのち、日本占領期の上海へ。最終的な安住の地は、オーストラリアのシドニーとメルボルンだった。

歴史とアートの融合プロジェクト「マリルカプロジェクト」

この映画は、ユダヤ史と難民研究を専門としてきた東京理科大学の菅野賢治教授が、オーストラリア・メルボルンで第二次大戦期のジェノサイドを逃れた元ユダヤ難民、マリアと出逢ったことをきっかけにスタートした「マリルカプロジェクト」の中で制作されました。
難民の視点から「asylum(亡命、避難)」の本質的意味を考える、歴史とアートの融合プロジェクトとして、菅野氏と共に気鋭のドキュメンタリー映画監督・大澤未来氏が世界各地で数々の資料調査と実地調査を行ってきました。姉弟の生き残りをかけた旅の軌跡をたどりながら、それぞれの場所に遺る日本と中国からの視点を織り交ぜ、新たな光を当てた作品です。

また、プロジェクトの趣旨に賛同して、日本にも多くのファンを持つ東ドイツ出身の作曲家ヘニング・シュミート氏が美しくも儚い音楽を作曲。オーストラリアの実験アニメ作家レイチェル・ウォルズがアニメーションを制作。世界的に活躍する現代アーティスト宮森敬子氏が美術を担当するなど、国境を越えたコラボレーションが結晶した作品となり、世界最大のユダヤ映画祭「ユダヤ国際映画祭inオーストラリア」や「マイアミ・ユダヤ映画祭」で公式上映され話題となりました。

上映後のアフタートークには、戦後はじめて、82年ぶりとなる念願の来日を果たす主人公のマーセル・ウェイランド氏(95歳)も登壇し、ユダヤ難民の数奇な運命を語ります。今なお戦禍が繰り返される「難民の時代」を深く考える機会となります。ぜひ、この貴重な機会にご参加ください。

『海でなくてどこに(Where but into the sea)』2021年/72分
日本語、英語、中国語、イディッシュ語(日本語字幕あり)
〈企画・調査研究・歴史考証〉菅野賢治/〈監督・撮影・編集〉大澤未来/〈音楽〉ヘニング・シュミート
〈アニメーション〉レイチェル・ウォルズ/〈美術・デザイン〉宮森敬子/〈コーディネート〉小畑美史/〈プロデュース〉関口清

▶︎2023年2月28日(火)19:00より
上映後アフタートークあり 登壇者:マーセル・ウェイランドさん、大澤未来さん、菅野賢治さん

▶︎オンライン予約の場合=2/25(土)午前0時よりシアター・イメージフォーラムのオンラインチケット購入サイトより販売開始
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▶︎劇場窓口の場合=2/25(土)午前10時30分よりシアター・イメージフォーラムの劇場窓口にて販売開始(購入は映画館の営業時間中に限ります)
※オンライン予約優先。当日予約枠に余裕があれば、予約なしでもご入場いただけます。
※オンラインでご予約された方は当日劇場のロビーにて発券手続きが必要です。開演時間間際は大変混雑しますので余裕を持ってご来場ください。

《入場料金》一律1,500円(各種割引適応外)