イントロダクション

ノーマン・マクラレン

2006年カンヌ国際映画祭は、アニメーション作家として初めてノーマン・マクラレン の回顧展を開催した。1955年『線と色の即興詩』でカンヌ映画祭の最高賞パルムドー ル(短編部門)の栄冠に輝いたマクラレンは、アカデミー賞をはじめ生涯200以上の 賞を受賞した。フィルムに直接傷をつけるスクラッチ・アニメーションや、人の動き を一コマずつ撮影して戯画化するピクセレーションなど、従来では発想しえない技法 を試みて観客を楽しませながらラジカルな表現を追究したマクラレン。その果敢な姿 勢は、今なおジャンルを越えて多くのアーティストに影響を与え続けている。 このマクラレンの代表作をセレクションした回顧プログラムは、カンヌ映画祭上映後 アメリカへと渡り、全米映画芸術科学アカデミー主催で記念上映され、世界各地の国 際映画祭および美術館をツアーした。いよいよ日本で回顧上映が実現する。

ノーマン・マクラレン

1914年スコットランド、スターリング生まれ。エイゼンシュテインやオスカー・フィッシンガーの作品を観て映像制作を志す。1987年に死去するまで70作品以上のアニメーションを制作し、200以上の賞を受賞。多くの作品は一見かわいらしくてユーモラスだが、フィルムに直接スクラッチして絵を描いたり、人物をコマ撮りしたピクセレーションなど様々な実験的手法を用いて制作されている。移住したカナダで後進の育成にも熱心に関わり、作品を通して影響を受けたアーティストだけでなく、直接指導によって多くの作家を輩出している偉大な存在。

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