上映作品(13本/合計87分)
ノーマン・マクラレンがカナダ映画庁(NFB)に招聘されて制作した最初の作品で、カナダ郵政省のキャンペーンの為に製作された。透明な35mmフィルムに、ペンで各種の模様やシンボルを描き、それに背景の写真を重ね合せクリスマスのムードを出している。BGMはベニー・グッドマンの演奏する「ジングル・ベル」。
マーチの旋律に乗ってアメリカ星条旗の“星”と“ストライプ”がアクロバットを演じる実験アニメーション。カメラを使わずに、マクラレンが直接フィルムに絵を描いて色をつけることによって制作された。
フィルムにペンとインクで直接手描きしたカメラレス・アニメ。光学処理によって色彩がつけられた。第二次世界大戦中に創られた政府キャンペーン映画のひとつ。卵からにわとりへ、西部のダンス音楽にあわせてにわとりが踊る。
フランス民謡に合わせて語られる、教会の中に眠る灰色の鶏の話についての子守唄。パステル画で描かれたうつろいやすい映像は、この歌が持つドリーミーな雰囲気を増幅させている。
ベルリン国際映画祭銀盾賞受賞
カナダ映画賞特別賞受賞
オスカー・ピ-タ-ソン・トリオによるジャズ演奏の流麗なメロディーラインを、色彩豊かに視覚化した作品。作家マクラレンとエブリン・ランバートによる華やかな映像を通して、音楽の視覚的体験が得られる。刻一刻と変化する色彩と、音楽に合わせて瞬時にその姿を変化させていく線のイメージが、具象と抽象の境界線を行き来する。
アカデミー賞短編部門最優秀ドキュメンタリー賞受賞
カナダ映画賞特別賞受賞
マクラレンの代表作。仲良く暮らしてきた隣同士の2人の男が、両者の家の境に生えてきた1本の花をめぐり次第に争いを始める。争いはどんどんエスカレートしていくが、再び平和は訪れるのか・・・。人間をコマ撮りする「ピクシレーション」の手法を使って撮影された作品。この技法により、俳優達の表情や動作をカリカチュアライズして描き、無言劇のスタイルを取ることで争うことの無益さを見る者に問い掛ける。マクラレンは後年、自分の作品が全て廃棄されることになったとしても、この作品だけは残したいと語っている。
カンヌ国際映画祭短編部門パルムドール受賞賞
即興で演奏された音楽に合わせて、ネガフィルムをひっかいて創ったスクラッチ・アニメ。映像完成後にマクラレンがサウンドトラックをスクラッチすることによって音楽を追加している。
アカデミー賞短編部門ノミネート
英国テレビ映画芸術アカデミー特別賞受賞
カナダ映画賞受賞
ノーマン・マクラレンによる台詞のない現代風のお伽噺。椅子が、腰掛けようとした男の子を嫌がって逃げまわり、まるで二人がダンスするような形になる。
くちばし、目、首、翼と順番に失ってしまった「つぐみ」が、それらを取り戻す旅に出る。フランス系カナダの古いナンセンスソングをアニメ化した作品。楽天的なつぐみは、体を失っても悩むことがなく、再び彼がくちばし、目、首、翼を取り戻す時には、それらが2つ、3つと増えていきます。切り絵による作品。
ノーマン・マクラレン監督本人が登場する楽しい作品。映画祭の開会式で、マイクロホンの前に立った彼はポケットからメモを取り出しスピーチを始める。 最初の一言を発しようとすると、マイクがソッポを向いてしまう。どうしても話したいマクラレンとマイクロホンの、あくなき戦い。サイレント映画のスラプスティック・コメディを思わせる。
カナダ映画賞受賞
「動き」の創造がテーマ。『垂直線』という原形になった作品がある。直線の動きと長さは全く同じ。違いは直線の方向と、背景の色と、音楽である。
英国テレビ映画芸術アカデミー最優秀アニメーション作品賞受賞
メルボルン国際映画祭グランプリ受賞
プノンペン国際映画祭最優秀短編映画賞受賞
カナダ映画賞特別賞受賞
「パ・ド・ドゥ」とはバレエでの男女ペアによるダンスのこと。カナダの有名なバレエダンサー、マーガレット・マーシアーと彼女のパートナー、ヴィンセント・ワレンが共演。
完全な暗闇の中で、白いドレスを着たダンサー達の演技を後部から照明で照らし出すことで輪郭を浮き立たせ、同じコマを約10コマ焼き付けることによって、その輪郭が流れるような効果を作り出した。バレエの優雅さとマクラレンの芸術的技巧が調和した作品。
アカデミー賞短編部門ノミネート
英国テレビ映画芸術アカデミー特別賞受賞
カナダ映画賞受賞
キーボードをカラフルに視覚化。映像の動きは音楽と完ぺきに一致している。「動きある色彩」を探求し続けたマクラレンの集大成。