2004 年から2006 年にかけて制作された映画、ビデオ、インスタレーション作品の中からセレクトされた秀作、話題作34 作品を上映・展示いたします。本フェスティバルで発表された作品は、日本の映像アートを代表する作品として海外の映画祭、メディアアート・フェスティバル、シネマテークなどで広く紹介され、国際的な視野から見ても注目作が集まる重要な場になっています。

萩原朔美は映画をチカチカする明滅に還元し、人間の生存や本能と結びつけて考察する映像エッセイを展開。伊藤隆介は扇風機(シャッター)、デスクライト(映写ランプ)、ガラスの花瓶(レンズ)の机上の“ 偶然の出会い” により映画がたまたま発見されたというユニークなインスタレーションを展示します。佐藤義尚はコンピュータにおける机上(『desktop』)の日常的な錯覚をアニメーション化しています。OS の画面とドラッグやスクロールといった日常的な操作中、私たちは無意識にアニメーションを生み出していたのです。映画メディアそのものを偏愛する作家奥山順市は、ダブル8という過去のフィルム方式にテーマを見いだし、田名網敬一と相原信洋の『ノイズ』は、映画前史の驚きを映画フィルムで再現する試みです。

映像作家は、常に新境地を開拓しています。鈴木清順、篠田正浩などの美術監督として60 年以上のキャリアを持つ木村威夫は、近年、濃厚な美の世界を自作で展開しています。最新作『OLDSALMON 海をみつめて 過ぎた時間』を88 歳で完成、プレミア公開となります。CG 映像のシリーズが世界的に評価の高い五島一浩は実写の長編ドラマを制作。都市の虚実入り交じる不安な気配を表現しています。映像と記憶の関係を探求するかわなかのぶひろは、2005 年に行われたパフォーマンス版『つくられつつある映画』の断片映像に、なじみ深い「新宿」の個人的記憶、現代のリアルな断片を織り込んで、「常に生成されるもの」としての動的な映像表現を提示します。

2005 年のグランプリ作家瀬戸口未来は『あなにやし』でイザナギ、イザナミの国生み伝説をアレンジ。ひらたたかひろは05、06 年連続入賞、新作『slide002』『Day Night Tower』で緻密なデジタル合成による風景の異化に挑戦します。白川幸司はドナー問題をテーマに重厚なドラマを発表し、林勇気はRPG の様な場面展開をするCG ドラマで現代の若者の身体感覚とコミュニケーションのリアルを表現します。

●作品スチール(クリックで各作品の上映プログラムへ)
極私的なる多摩王の感傷
Different Cities
OLD SALMON
海を見つめて 過ぎた時間
あなにやし
ANTONYM of CONCORD(E)
desktop
Day Night Tower
De-sign17
Free Movie solo camera improvisation
映画の発見
ファンタスマゴリー
LAST BOY LAST GIRL
輻射点
風は木を忘れる
SPICA
レベル1
ノイズ
W8は16ミリ
ティティ -光のムナモト-
つくられつつある映画