原案・監督:ヨハン・グリモンプレ
テキスト抜粋:ドン・デリーロ著「ホワイト・ノイズ」、「マオII」/サウンドトラック:デイヴィッド・シー
制作:ジョルジュ・ポンピドゥー・センター、他/ビデオ/1997/68分/カラー&白黒/ベルギー+フランス
1997ドクメンタX招待作品
 原案・監督:ヨハン・グリモンプレ
 Johan Grimonprez
1962年トリニダード・トバゴ生まれ。 ベルギー・ゲント美術学院、 ニューヨーク・ホイットニー美術館ヴィジュアルアーツ課、 マーストリヒトのファン・エイク学院で学ぶ。 90年代以降、 映像界・美術界でもっとも注目されるメディア・アーティストの一人。
代表作 :『コバルヴェンクあるいは君のヘリコプターはどこだ?』(1992)、 『ロスト・ネイション』(1999)。 『ダイアル・ヒストリー』はドクメンタX、 パリのポンピドゥー・センターやロッテルダム映画祭などをはじめ世界各地で上映され高い評価を得ている。
 テキスト:ドン・デリーロ Don DeLillo
1936年生まれ。 1985年「ホワイト・ノイズ」で全米図書賞。 アメリカポストモダン文学を代表する作家。
主な著作:「ホワイト・ノイズ」(新潮社刊)、 「白い部屋:デイルーム」(白水社刊)、 「リブラ時の秤」(文芸春秋刊)、 「マオII」(本の友社刊)、 「アンダーワールド」(新潮社刊)、 「ボディー・アーティスト」(新潮社刊)
 音楽:デイヴィッド・シー David Shea
1965年生まれ。 ニューヨークを中心に活動する、 サンプラーとターンテーブルを使って電子音楽とアコースティックな楽器を混合させる作曲家/ミュージシャン。 マーク・リボー、 アンソニー・コールマン、 ジョン・ゾーンらなど共演者の幅は広い。
 登場人物
アンワル・サダト、 ライラ・ハリド、 リチャード・ニクソン、 フィデル・カストロ、 ニキータ・フルシチョフ、 ロナルド・レーガン、 岡本公三、 ヤッシール・アラファト、 チェ・ゲバラ、……
 アートブック執筆者
スラヴォイ・ジジェク Slavoj Zizec
1949年生まれ。 スロヴェニアのラカン派思想家。 ポップカルチャーと政治をラカン理論をもとに読み解き、 現在世界でもっとも影響力のある発言者の一人である。
主要著書 : 『ヒッチコックによるラカン――映画的欲望の経済』(トレヴィル刊)、 『斜めから見る――大衆文化を通してラカン理論へ』(青土社刊)、 『否定的なもののもとへの滞留――カント、 ヘーゲル、イデオロギー批判』(太田出版刊)
※アートブックに収録されているのは2001年9月17日、 ニューヨークの国際貿易センタービルの自爆テロの直後、 ジジェクがアメリカのウースター・プレス紙に発表した記事「現実界の砂漠へようこそ!」を本人了承のもと再録したものである。

ハンス・ウルリッヒ・オブリスト Hans Ulrich Obrist
1968年チューリッヒ生まれ。 パリ市立近代美術館、 ウィーン・ミュージアム・イン・プログレス・キュレーター。 現在パリ、 ウィーン、 ロンドンを基点に世界各地で活躍中。 「DO IT展」(1994)、 「Take Me (I'm Yours)展」(1995)ベルリン・ビエンナーレ(1997)など話題になった企画多数。

実際の戦場にいないぼくらが、今真っ先にやらなくてはならないのは「美しさ」や「エロス」の再検証だ。テロや破壊への衝動の根幹がそこ にあるような気がすし、映像や音楽によるサンプリングがさらなる「美」を生み、それが現実へとフィードバックしていくことをどう捉えるのか、 このことを考慮すること抜きに僕らの次はないと思うからだ。
──大友良英(ミュージシャン)

事実を語るTVはデマ製造機だったという。 この壮絶なメッセージが語るのは、 ギャグによる真実だ。
──足立正生(映画監督)

モップで血を捌くこと──ハイジャックとテロリズムの具体的な現われとはそういうことだ。
──椹木野衣(美術評論)

他に例を見ないエネルギー、派手さ、社会問題と美的な問題を融合させる説得力、胃袋をかき回すパワー!
──ニューヨーク・タイムズ

切迫した感覚、感情をゆさぶる作品。
──タイムズ(ロンドン)

ひとつひとつのカットが深く潜って行き、それがやがて心が痛むまで続く。
──サンフランシスコ・ベイ・ガーディアン

ローラーコースターで歴史を駆け抜ける、エキセントリックな旅行
──タイム・アウト(ロンドン)

狂乱の、大爆笑の歴史。
──デ・モルゲン(ブリュセル)

魔法にかけられるような作品。
──ロサンゼルス・タイムズ

殺されろ。 そうすれば有名になれるかもしれない。
──ドン・デリーロ、「マオII」より

座席次第で犯人やテロリストとの接触は防げると言います。 犯人が出入りする非常扉に近すぎても遠すぎてもいけません。通路側は無防備です。 狙われやすさは一番。 操縦室近くのファーストクラスは危険。 脱出方法を確認すること
──プロ操縦士

君ら西洋人にとって、 境界というのは壁とか限界を意味するのだろうが、 我々にとってはチャンスを意味するのだ。
──チェチェン・ギャング

小説家とテロリストはゼロ・サム・ゲームを競っている。 テロリストの勝ちは小説家の負けだ。
──ドン・デリーロ、「マオII」より

もしここで君にキスをしたら、 それはテロリズム的行為だと言われるだろう。 だったら我らはピストルをベッドに持ち込んで、 酔っぱらった盗賊のように、 町中を真夜中にたたき起こそうではないか。
──ハキム・ベイ(アナキスト思想家)

もしかしたら空は本当は緑色で、 僕らがただ色盲なだけなのかも。
──バート・シンプソン(アニメ『シンプソンズ』主人公)

さあ、 歴史とランデブーする時がきた!──ライラ・ハリド

東京・大阪公開情報/ヨハン・グリモンプレ来日情報 DVD+アートブック情報 作品詳細 ハイジャック年代記


2003 Image Forum & Daguerreo Press, Inc. All rights reserved.