「走り続けろ」と8ミリカメラは言った わたしたちがどこの誰であるかといったことは問題ではなく、なぜならばわたしたちは既に8ミリカメラを手にしてしまったからである。映画を撮ることは簡単だ。生きることの困難さに比べたら。ただシャッターを押せばいいのだから。しかし、ああ、それを持続することは! けれども、わたしたちは確かに聞いたのだ。カタカタカタ、とフィルムがまわる音と共に。そう、「走り続けろ」と8ミリカメラは言った(ビデオカメラも!)。(先行逃切) 作品コメント 泥の内果皮間●空っぽの病室が私を求めている。 または、それは私から取り上げられた部分、 ベルベットの肌触りにも似た死の寸前の様な、 自ら求めた淫悦な苦痛。ぱっくりと開いた大きな 赤黒い傷口を私はその淵にしゃがみ込み、 永遠を覗き込もうとしたのだ。 Strage Green / Lemon Pound Cake / 感染経路●3作品、8ミリ自家現像の実験的作品です。理科の実験? いやいや、映画です。映画? 映像? フィルム? 物質? 光? ハァ〜? 葉? 見れば疑問が少し解けます? ええ、これらは実験の結果です。何かしらの結果が出ます。 【注意】人により副作用が出るかも知れません。 CONDITION●1人でいる時間は必要で、やる事は山のようにあるのに何もしない事が多いのが嫌だったり、好きだったりで。変えようと思いつつ、でも結局同じ場所ばかりをウロウロしてる。 メゾチント52 ,●去年、夏を溶接の勉強で過ごした。アセチレンの炎の下で銅の切片は輝きを増しつつ溶融し球体を形成する。その変化は美しい。「真空と無重力と―そうすればこの球は真球に向かって限りなく近づいていく」と加藤先生はいった。あるいは惑星もこのように生まれたのか。そんな風に作品を産むことは出来ないだろうか? 残影残像3●月日が百代の過客なら、日々旅にして旅を住処とし、レンズ越しに日常のただ中を漂泊してゆきたい。一個人として何を見て何を受けとめてきたか記録するということが、ただそれだけですでに十二分に価値あることだとかたくなに信じつつ… あかい海月●この作品は2001年夏にIFシネマテークで上映した「耳にいさん上映会」での「スペア(金魚鉢から)」という作品を再考しようとおもって、再度撮り直して作り直したものです。何かを見ることによって忘れていた記憶がよみがえるように、男は赤い髪の女を見つけ、今はない昔の街の記憶を思い出し、それは何ともいえない気持ちにさせるのです…。 穏やかな海へ●ジャック・リヴェットの映画が好きで、あのパリの街をいやに立体的に映す(坂道や階段がたくさん出てくる)感じが好きで、心にピタッと納まる気がするのです。今、私があくせくと生きているこの東京にも、ピタッと来る風景がある訳で、わざと遠回りして家まで歩いたりしているとそんな場所に出会ってしまったりして。東京を知り尽くし得るとしたら、それは世界一周旅行より面白いのかも知れない。 小さな感情●いつか別れの日が来ても、すべてがなくならないように。メモ書きノートを開いてみたら、“小さな感情”の寄せ集め。いつか別れの日が来ても、すべてがなくならないように…。 アイ・マイ・ミー・マイン2001●まっすぐに、まっすぐに、正直に、正直に。ジョン・レノンの“イマジン”は、平和の歌だけど戦争映像のBGMとしてもっとも使われているような気がする。 いちばんぼし●ギャグ満載の作品を作りたいといつも思っているのに思い描くものとはかけはなれた作品となってしまうのがとてもイヤ。です。 肉まん●お久し振りです。お元気ですか。驚くと思いますが、私妊娠してまして現在9ヶ月を迎えるところです。毎日忙しいそうですね。時間が空いた時にでも連絡ください。12月22日。 愚か者、呻く●映画を撮らずにはいられない、ということはない。撮らなくても済むのなら、私は映画なんて撮りたくない。ましてや身銭を切って8ミリ映画を撮るなどということは愚の骨頂であると考える。さて、お前は何者だ? はい、私は愚か者です。 愚か者はその愚かさに耐えようとして耐えきれず、不様に呻き声はもれるだろう。よって愚か者の撮った映画のサウンドトラックは呻き声で埋めつくされる。そんな映画は誰も、他人も、自分も、幸せにはしないし、救いもしないことは判っている。たくさんある映画の中の取るに足らない映画の一つとして、その存在は知られる前に忘れられていくのだ。それでも私はこの映画を撮らずにはいられなかったのか? いや、だからこそなのか? |
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残影残像3
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受付(入替なし) 当日900円/会員600円 <上映作品> |
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