イントロダクション
level /
アートをハイアート・ストリートアートと安易に差別、区別する事なく、同じ地表、地上の視座で捉えるlevel
revel /
既存のアンダーグランドへのカウンター、状況へのアゲンストとしてのrevel
グラウンド・レベル・シネマ、遅ればせながら2023年お初でございます。今回数えまして7回目のvol.3.5、前回vol.3.0から早くも7ヵ月。
長過ぎたインターバル、長過ぎた映画、長過ぎた春、長過ぎたセックス、長過ぎたコロナ禍、そして長過ぎた前口上。
ここ東京は渋谷、愛と欲望、緊張と弛緩、悪徳と美徳、清濁合わせ持つこの街から皆様にお送りするのは世界、いやさ宇宙広しと言えど何処にもない逸品揃いの短編映画の数々。
季節は初夏。時はオフィスワーカー、学生の皆様におかれましては週末、安息日前日土曜の昼下がり。国籍、性別、職業、宗教などなどそんなヤボはしゃらくさい!とばかりに総ての人々にお届けします「グラウンド・レベル・シネマvol.3.5」それでは参りましょう。(グラウンド・レベル・シネマ運営委員会)
■批評を募集しています!〈グラウンド・レベル・シネマ〉Vol.3.5で上映する作品の批評文を書いていただける方を募集しています。経験等全く不問です。新たに映画評を書きたい、批評を書いたことがないけど書きたい!映画評に興味がある方も歓迎します。(批評文は〈グラウンド・レベル・シネマ〉webサイトで公開予定です。)是非ともVol.3.5にお越しください!
グラウンド・レベル・シネマHP
上映作品 / Taiwan Side
Bobina Mundial
Jeff Zorrilla, Ming-Yu Lee, Dagie Brundert, Ernesto Baca, Jamie Frazer / 傑夫·索里亞、李明宇、達吉·布倫特、厄尼斯多·巴卡、傑米·福萊澤
it follows it passes on / 撿起放下墜落提起
Erica Sheu / 徐璐
Beigu Islet / 北固礁
Hsin-Yu Chen / 陳省聿
Relieve
Joanna Wang / 王奐筑
silence | solitude | path / 靜 | 獨 | 徑
Lichun Tseng & Sergio González Cuervo / 曾莉珺 & 塞由・工薩勒斯・古爾博
Politics of Innocence / 天真的政治
Shake / 雪克
A Film of a Picture
Shan Wu & Drew Cavicchi / 吳珮姍 & 柯德聿
Siren's lullaby / 海妖嬰唱
Tzu-An Wu / 吳梓安
Flame Gazing / 觀火
Wang-Yun Yen / 閻望雲
上映作品 / Taiwan and Japan
Johan⇔Kudo (part1) / 往復書簡#1
Masa Kudo & Johan Chang / 工藤雅 & 張若涵
上映作品 / Japan Side
Draw And Record / 描画と記録
Aiko / あいこ
Glanced / グランス
Anna Fujii / 藤井 アンナ
Ango or I am walking / 安吾のごときもの歩く
Haruka Miki / 三木 はるか
shukyoku
Hi roshi Shirouzu / 白水 浩
Never Dried Tried Again / 干からびるな!
Ippei Nakao / 中尾 一平
THE Joker / 潜む者
Johnny HUNG
Pinhole Diary / ピンホール日記
Kenji Kadowaki / 門脇健路
ロックダウンボーイ ② /Lockdown Boy ② -New Shelter-
Kenta Yamaguchi / 山口 健太
particle
Koki Kisawa / 木澤 航樹
Kathu-Sa / 割差
Kiyoshiro Tatekawa / 立川清志楼
tremble
KOBAYASHI Makusu / 小林 真楠
Reprogram / 再プログラム
Naohisa Uchiyama / 内山 尚久
Detour / 寄り道
Seiichiro Okuma / 大熊 誠一郎
VEILED
Takaki Matsuda / 松田 天樹
女の会話~The Age of 27~
Yukiko Nishino / ニシノユキコ
作者コメント
Bobina Mundial
作家5人によるコラボレーション作品。5人の作家はぞれぞれアルゼンチン、台湾、ベルリン、メキシコ、スウェーデンで一本の同じスーパー8を使用し、設定された時間分を撮影。次の作家にフィルムを送って撮影を行い制作された。
it follows it passes on / 撿起放下墜落提起
『金門』についての記憶。お父さんの幼なじみは砲弾を避ける時は、お香のかすかな光しか照らせなかったと言った。台湾からアメリカまで持ってきた茶碗が割れた。中国の王朝時代に金門の海岸に漂着した壊れた磁器を思い出した。
Beigu Islet / 北固礁
国境、地域の歴史と構造化された主題の双方向の視線で、主観性という概念を探求する。『北固礁』は馬祖西引島の公海にある。潮の干満で半分が水没するリーフであり、台湾管轄領土の最北端である。そのとらえどころのない可視性は、政治的主観性が想像上の国境によって実際に区切られている状態を示している。
Relieve
誰も目撃できないけど科学者たちは知っているのは、それが流星みたい横にスワイプして土星の大気中に焼かれてしまうはずだ。
silence | solitude | path / 靜 | 獨 | 徑
探し、見つける…
一人を楽しめる人は常に静かに過ごしていて、自分の声だけが残るほど静かです。
未知、緑の影、棘、浸る、永遠、闇黒、間、青々と、聞く、凝視、意識、察知、連結、感じ、痕跡、意外、形、観察、開放性、深刻、全体、詳細、限界、自由、無声、ノイズ、探索、インスピレーション、トラッピング、発見、ミニマリスト、可能性、記憶、お互い。
説明しようとする時、我々はなぜここにいるのか?なにをしているのか?を考える。あるいは、どういうふうに介入するか、介入されるか。
その日、都市の荒野を発見した日から、音と映像を通して全てが繋がっていく。
荒野はいつも静かで、道は最終的にお互いになる。
Politics of Innocence / 天真的政治
20世紀初頭、植民地時代の台湾における学校制度の改善と児童文化運動の導入により、『子供』は大人とは違う個性としてみられ始めた。植民地時代の子供のイメージを再現することで、いかして植民地時代の子供のアイデンティティが政治的に操作されたのか?1920年代末、台湾で生まれた世代は日本化と皇民化政策を経験して、戦後、どの様にして自分の土地で他者になったのか。日本統治時代の台湾アーカイブ映像、台湾文学作品とオーラルヒストリーを通じて、あらためて失われた世代の姿を子供の視点から再構築する。
A Film of a Picture
この作品の素材は、撮影された一枚の火山噴火の35mmスチール写真をスキャンし、拡大プリントし切って、左から右へ、上から下へフィルムに貼った。このプロセスはデジタルイメージを読む動きをまねてみた。一枚の写真によって撮影瞬間の時間と空間、写真を読む時の内在活動、自然の動きと静かさを想像する。
Siren's lullaby / 海妖嬰唱
山海経の中では蜃気楼は大きなアサリから噴出する。アサリの育種、水族館のマーメイドと赤ちゃんの吐き出した言葉にならない声。言語、音声、映像を全て水に浸し、世界が海に沈んでいた頃の、空気を媒介としない世界を幻視する。
Flame Gazing / 觀火
一つの風景、他人の記憶。短編は感性的なつながりとしてホームビデオを転写させた。
Johan⇔Kudo (part1) / 往復書簡#1
コロナ禍で互いに往来が難しい中、日本と台湾に住む映像作家は往復映像書簡を始めた。新しい手法とメディアの試みをまた再会する時まで続けたい。(今回はパート1を上映)
Draw And Record / 描画と記録
日々の動きを記録しつづけたアニメーション映画。
Glanced / グランス
一撃の一瞥が走り去る。瞬きするたび消えるグランス(ちらりとこちらを見ること)。
Ango or I am walking / 安吾のごときもの歩く
三木はるかはいまからでも落語家かグラビアアイドルになりたいと思っている。いつか寄席に出たいし漫画雑誌の表紙を飾りたい。スクリーンのなかでは現実になれないものになろう。樹とか、建物とか、人とか。たとえば、坂口安吾なんてどうだろう。
shukyoku
歳を重ねる事に時間は早くなり、記憶は曖昧に、目の前のあらゆる事象はその輪郭を失っていく。
いつかは目の前から失われてしまう風景、物、そして世界をつなぎ止めておくために映画にしたいと思う。
Never Dried Tried Again / 干からびるな!
身体一つ、部屋一つ、朝、夜、昼、ロボット
THE Joker / 潜む者
「この中に裏切り者がいる!」はじめはレクリエーションに過ぎなかった。しかしたったひとことで、すべての参加者は互いに疑いはじめ、全員が不信感を抱く。しかし本当に疑うべきなのは……。
Pinhole Diary / ピンホール日記
デジタル一眼レフでピンホール写真を撮っていた時に、写真としてあまりうまくいかなかったので、映像作品にしようと思って作った作品です。市販のEFマウントのピンホールが暗すぎたので、マウントにパーマセルを貼って穴を開けたりしています。
ロックダウンボーイ ② /Lockdown Boy ② -New Shelter-
コロナ禍によって自身が受けた抑圧的な感覚や感情を、作者自らがカメラの前に立ち演じることで、コロナ禍という現象そのものを表現しようと試みた「ロックダウンボーイ」シリーズの第2弾。
コロナ禍という現象が収まりつつある今も、主人公である彼は日常生活に戻ることができない。「ロックダウン」によって日常の動作や、生活感そのものを奪われた主人公(作者)は未だにウイルスを恐れて無菌状態にある洗面所で暮らしている。彼の精神は極限状態にあるが、世界(メディア)はコロナ禍というトピックからすでに離れて次のトピックへ。コロナ禍という現象によって洗面所で暮らすという非日常性にスタック(ぬかるみにはまり込んで動けない)してしまった主人公の心情や置かれた状況それ自体を、劇映画的な手法と「その場で言葉を紡いでもらう」というドキュメンタリー的な手法をミックスして表現した。コロナ禍が去った今も、ぬかるみにはまってその場から動けないのにも関わらす世界が先へ先へと進んでいってしまうことに恐怖を感じている人たちに思いをはせてつくりました。
particle
あらゆる喜びを抽象的な映像で可視化。
今の私が抱く大きな願い。その願いが実現したとき、私にはどのような喜びが訪れるのだろう。
Kathu-Sa / 割差
分解される表層と多重化される音響、固定カメラで撮影した画像の時間をずらしレイヤーとして多重化し再構築する。
視覚変化と音響を体感する作品。
ロラン・バルトはかつて『文学的営為は、表現・表出力・反映の営みではなく、模倣・無限的コピーの営みである』と語っている。
模倣・無限的コピー、まさに自分の作品のことだ。作品は表現ではない。作家の個性など幻想だ。コピーによるコピー、コピーの連鎖から作品が生まれる。
個人が何者かのコピーであるならばコピーが作品となるのだ。世界に対する無限的コピーこそ作家活動の本質である。
tremble
夜、外からキリキリと音がする。窓に蛇でも這ってるかと思う。どうやら家鳴りという現象があるらしい。JR SKISKIが「僕たちは、寒くない。」と謳ってから30年、そよぎふるえるものの様子を撮りたくなった。
Reprogram / 再プログラム
雲の上から、そして海の向こうから押し寄せる再プログラムの波。
私たちはイマジネーションを駆使して、切り抜けることができるのか。
Detour / 寄り道
シンセサイザーを用いて音を作り、その音から映像を作った。
VEILED
頭に霧がかかっている。
女の会話~The Age of 27~
男性ばかりの中に女性が混じることを「花を添える」って言うじゃないですか。「お花みたいに黙って微笑んで」とかも。でもお花みたいな時ばっかりじゃないんですよね、女は。お花の時の方が少ないんです。