映像作品の他、ロボットを使ってアニメーションを投影するというユニークな映像インスタレーションを発表している若手作家 小林 颯の個展を開催。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻の修了制作である『灯すための装置』を含む4作品を上映、展示する。
上映プログラム 4作品16分
少年と映像 2016年 / 4分
パウンドケーキと佐藤先生 2018年 / 4分
眠るための装置 2019年 / 4分
灯すための装置 2020年 / 4分
※セッティングのため『眠るための装置』上映後に数分間の休憩あり
作者による解説
少年と映像
12歳から映像制作を始めた作者による、10年間の作者の私と映像の関係性を描いたセルフ・ドキュメンタリー、かつ静かな決意表明。
パウンドケーキと佐藤先生
私が20年間メールと手紙で文通していた佐藤先生に、20年ぶりに電話をかけた。
それは20年前の私が記録された写真に、故郷の北海道の穏やかな空気を吹き込むかのような会話だった。その空気と佐藤先生の人柄がにじみ出ている3分半の対話、そして現在の私が交錯する映像。
眠るための装置
ロボットによるアニメーション・初期作。あのくらいの位置で、あのくらいの大きさで、あのくらいの動きで、今日もアニメーションは起きて眠る。アニメーション自体の移動やおぼろげなマッピングによって、画面のフレームを超えた、その場限りの個人的な短編アニメーションを上演する。
灯すための装置
不完全なアニメーションを灯すための装置。二台のロボットは、部屋をあちこち行き交いながら像を投影しあう。その像は、まるで灯火のごとく、揺らめき、ぼけては動き、電池が絶えるまで灯し続ける。VRやプロジェクションマッピングとは対極のぎこちなさによって、その場限りの、眼前にアニメーションが「いる」感覚をもたらす。
小林 颯
1995年北海道出身。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。修了制作として『灯すための装置』(20)を発表。灯すための、より開かれた“アニメーション”を制作している。江副記念リクルート財団第49回奨学生。