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特別講座

【開催終了】サマースクール2023 <鑑賞講座>フィルム・ヒストリー:エクスペリメンタル映画入門 

[23.07.10]

[※対面のみの講座です。オンラインでの受講はできません]

デジタル機材の発達を通じていまや身近になった映像表現。その様々な表現の歴史を辿ってみると、産業としての映画とは別のアートとしての映画(実験映画)という大きなムーブメント、そして数々の冒険者・先駆者たちに出会う。映像メディアの特質に根差したこのもう一つの映画史の流れを、映画前史、 20年代前衛映画、戦後アメリカのアンダーグラウンド映画、そして現在の新しい映像アートまで、時代を追い国内外の代表作を見つつ映像作家のユニークな思考と表現にふれる。

講座日程■8月3日(木)〜8月9日(水)<6日間>※8月6日(日)は休講

時間■19:00〜22:00

受講費■15,000円

定員■30名


■上映予定作品

A. 海外作品 ※8月3日(木)〜5日(土)
美術館の常設展のように、年に一度でもマスターピースを鑑賞できる機会としてこの講座を考えています。いわゆる”実験映画”と呼ばれる作品群はアクセスが意外と困難なため、シネフィルと現代アートファンの関心の重なりでありつつも関心の陥穽となっているのではないでしょうか。なるべくオリジナルフォーマットで、作家の発想のあれこれをご紹介します。(澤隆志)

▶ 映画誕生 記録と娯楽と表現の源流  
『列車の到着』(リュミエール兄弟, 1895)、『月世界旅行』(ジョルジュ・メリエス, 1902) 他

▶ 映画のアヴァンギャルド 第一次世界大戦後
『アンダルシアの犬』(ルイス・ブニュエル+サルバドール・ダリ, 1928)、『午前の幽霊』(ハンス・リヒター, 1928)、『カメラを持った男』(抜粋) (ジガ・ヴェルトフ, 1929)、『トレード・タトゥー』(レン・ライ, 1937) 他

▶ 映画のアヴァンギャルド 第二次世界大戦後
『午後の網目』(マヤ・デレン+アレクサンダー・ハミット, 1943)、『花火』(ケネス・アンガー, 1947)、『ドッグ・スター・マン(第2章)』(スタン・ブラッケージ, 1963)、『スリープ』(抜粋) (アンディ・ウォーホル, 1963)、『ウォールデン』(抜粋) (ジョナス・メカス, 1969) 他

▶ 「力と秘密」「アーカイブとファウンド・フッテージ」「(アフター)エフェクツ」「設置・設定」「ナラティブの冒険」「ヒトガタ」
通史的におさらいしたマスターピースの後は、ゆるいテーマを設けて映像表現の変遷を追っていきたいと思います。(抜粋や参考リンク中心に)

 

 

 

 

 

 

B. 日本作品 ※8月7日(月)〜9日(水)
政治、社会、そして芸術の移り変わりを見据えてきた実験映画の作家たちは、つねに私たちのものの見方や知覚のあり方に揺さぶりをかけてきました。この講座では、人々の想像力を駆り立ててきた戦後の日本の実験映画を6つのテーマに沿って紹介します。(中根若恵)

▶ 映画の革命か 革命の映画か—実験映画のアクチュアリティ
『へそと原爆』(細江英公, 1960)、『つぶれかかかった右眼のために』(松本俊夫, 1968)、『おかしさに彩られた悲しみのバラード』(原将人, 1968) 他

▶ 映画原理の追求—物質、構造、装置としての映画
『円』(今井祝雄, 1967)、『オー!マイ・マザー』(安藤紘平, 1969)、『オランダ人の写真』(居田伊佐雄, 1974)、『映画-LE CINEMA』(奥山順市, 1975)、『SPACY』(伊藤高志, 1981)、『カメラオブスクラ2』(IKIF, 1983)

▶ 意識/主観の映画、そしてコミュニケーションの実験へ
『日没の印象』(鈴木志郎康, 1975)、『映像書簡2』(かわなかのぶひろ + 萩原朔美, 1980) 他

▶ 身体を思考する映像 / 映像を思考する身体
『バラ科たんぽぽ』(小口詩子, 1988)、『骨肉思考』(竹藤佳世, 1997) 他

▶ アニメーションの系譜
『人間動物園』(久里洋二, 1962)、『風雅の技法』(月尾嘉男 + 山田学, 1967)、『驚き盤』(古川タク, 1975)、『蟻の生活』(浅野優子, 1994)、『くじらの湯』(キヤマミズキ, 2019)

▶ アンソロポセンとエコロジーの映像—人間中心主義を超えて
『関係』(碓井嵐丸, 1974)、『生態系 5-微動石』(小池照男, 1988)、『INITIAL VIPOR』(葉山嶺, 2013) 他

 

 

 

 

 

 

 


■講師

澤隆志(キュレーター)

2000年から2010年までイメージフォーラム・フェスティバルのディレクターを務める。現在はフリーランス。パリ日本文化会館、あいちトリエンナーレ2013、東京都庭園美術館、青森県立美術館、長野県立美術館などと協働キュレーション多数。「めぐりあいJAXA」(2017-)、「都市防災ブートキャンプ」(2017-)、「写真+映画=列車」(2018)、「浮夜浮輪」(2018) 「継ぎの時代」(2022-)など企画、運営。

 

中根若恵(映画研究者)

南カリフォルニア大学映画芸術学科博士課程在籍。専門は日本の実験映画、ドキュメンタリー映画、ジェンダー論。学術論文に、「作者としての出演女性——ドキュメンタリー映画『極私的エロス・恋歌1974』とウーマン・リブ」(『JunCture』2016年)、「身体による親密圏の構築——女性のセルフドキュメンタリーとしての河瀨直美映画」(『映像学』2017年)など。


 

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