■各作品紹介
『蛾のいるところ』
 監督:清家美佳(2001年/ビデオ/6分)
2002年オランダアニメーション映画祭正式出品  2002年バンクーバー国際映画祭正式招待
2003年ロッテルダム国際映画祭正式招待  2003年ハンブルグ短編映画祭正式招待、他

◎とあるマンションの一室。居間に佇む中年の女性が植木鉢に種を植えると、植物がやがて成長し、蛾を実らせる。部屋が飛び交う蛾で一杯になっていくのにあわせて、なぜか彼女の部屋はどんどん階を上っていき、やがて最上階に到達する。「テトリス」などを想起させるようなテレビゲーム的な独自のロジックで展開されるストーリー。国内外で鮮烈な驚きをもって評価された。

『二層の葛』
 監督:清家美佳(2004年/ビデオ/8分)
2005年オーバーハウゼン国際短編映画祭コンペ部門正式招待  2004年バンクーバー国際映画祭正式招待
2004年プサン国際映画祭正式招待  2004年イメージフォーラム・フェスティバル 入選 他

◎ひたすら伝言ゲームを繰り返す一組の男女。女がいる水中と、男のいる岸辺は、彼らが送りあうメッセージから生まれた葛や魚に埋もれてしまう。彼らはやがて立ち去り、新しいコミュニケーションを求め旅立っていくのだった。人と人との会話に存在する微妙な距離感を、アニメーションで比喩的に描いてみせた傑作。

『考える練習』
 監督:野上寿綿実(2003/ビデオ/5分)
2004年バンクーバー国際映画祭正式出品  2004年イメージフォーラム・フェスティバル 奨励賞
2004年AFTER THE REALITY展(ヒロミヨシイ・ギャラリー)、他

◎考える人の絵を前に考える人。その絵を前に考える人。その絵を前に考える人………。無限に続く思考ループ。奇妙に脱臼したかのような映像と音楽のリズムが、”考える「私」とは誰なのか?”という哲学的テーマ自体を越えて、不思議な時空トリップ感覚を生みだす。単純なミニマリズムで、観た人全ての頭にこびりつく作品。

『ゆきどけ』
 監督:大山慶(2004/ビデオ/7分)
◎外の寒さから隔たれ、暖かい子供部屋に引きこもっている少年。窓から外の雪景色を眺めていると、ふとした際に犬の死体が目に飛び込んできた。それ以来、少年の肉食に対する嫌悪と恐怖が屋内に増殖していく。デヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』を彷彿させるような奇形的キャラクターと無機質なノイズ。フラットな白い壁が印象的な映像が、非常に現代的な恐怖を描き出している秀作。
『診察室』
 監督:大山慶(2005/ビデオ/9分)
2005イメージフォーラムフェスティバル入選  2005年カンヌ国際映画祭監督週間正式招待

◎体を煩っている初老の男。診察を受けていると突如、子供時代の恥ずかしかった体験が鮮烈によみがえる。人間の肌の写真を切り貼りして作られたフランケンシュタインのようなキャラクターたちが登場し、少年時代の肉体に対する羞恥心や困惑を過剰にあぶり出す。

『部屋/形態』
 監督:石田尚志(1999/16 mm/7分)
2000年レティナフェスティバル 準大賞  第31回タンペレ国際短編映画祭正式招待  2002年トロント国際映画祭正式招待
1999年イメージフォーラムフェスティバル 特選  第4回アート公募審査員賞、他

◎窓からのこもれ日で浮かび上る白い部屋。作家はこの部屋の壁/床を巨大なキャンバスとして縦横無尽に絵を描き、それを一枚ずつ撮影することによってこのアニメーションを完成した。白い壁にうごめく墨というコントラストが、窓から差し込む光によって生じる室内の明暗と微妙に溶け合い、過剰で不穏な生命力を湛えている。超絶的な技巧と体力にひたすら驚かされる作品。

『兎ガ怕イ』
 監督:倉重哲二(2002年/ビデオ/13分)
第4回ブリスベン国際アニメーション映画祭正式招待  2003年ロッテルダム国際映画祭正式招待
2002年バンクーバー国際映画祭正式招待  2003年イメージフォーラム・フェスティバル 審査員特別賞、他

◎兎に監禁された女。椅子に縛りつけられ、目隠しされた女の前に次々と料理が運ばれてくる。料理を食べ終わるたびに、なぜかサイコロが女の口からポンと飛び出す。そのサイの目を見て、兎たちは双六のコマを進め、止まった目によって次に与える食材を決定する。しかしコマが止まった先が食材だけだとは限らない。。。食べたものがその人が見る夢に影響するという、ブリヤ=サヴァランの「美味礼賛」に着想を得て語られる夢幻譚。

『闇を見つめる羽根』
 制作・作画・撮影:辻直之(2003年/16 mm/17分)
2004年カンヌ国際映画祭監督週間正式招待  2003年ロンドン映画祭正式招待  2003年アンカラ国際映画祭正式招待
第7回バンコク国際短編映画祭正式招待  2004トロント国再映画祭正式招待他

◎天地創造の神話が、めくるめく雄大さで展開される木炭画のアニメーション。1枚の紙に書いては消しながら撮影することで生まれる淡いグレーの残像。それが万物が流転していく姿に美しい引力を生む。エレクトリック・ギターのドローン音が映像に共鳴、世界が生まれる以前の記憶を呼び起こすサイケデリック・アニメーションの傑作。

『怪談』
 監督:壱岐紀仁(2003年/ビデオ/7分)
2003年第4回ニューヨーク・コンパクト-インパクト展出品  2003年バンクーバー国際映画祭正式招待
2002年アニマセンチュリー グランプリ  2002年アジアデザインコンペ2002 アジアデザイン準大賞、他

◎夏休み、暇を持て余した少女。うだるような暑さと所在なさに身を任せていると、聞かせてもらったばかりの怪談が頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えて、頭からはなれなくなってきた………。空想をもてあそぶ子供時代特有の感覚が鮮やかに甦るCGアニメーション。

◎発売記念展示渋谷Bunkamura内ナディッフ・モダンにて開催! 2005年8月27日(土)〜9月30日(金)
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