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No.1055
IN VISIBLE TIME
五島一浩 3D映画特集
2023 2/17 Fri., 2/18 Sat., 2/19 Sun.

    タイムテーブル

日付 2/17 (金) 2/18 (土) 2/19 (日)
13:00 ---
14:30 ---
16:00 --- Teach-in Teach-in
17:00
18:30 ---

    会場

  • イメージフォーラム3F「寺山修司」
    東京都渋谷区渋谷2-10-2
    TEL. 03-5766-0116

    当日受付

  • 一般700円/会員・学生500円(学生証をご提示ください)
  • ※当日入退場自由
  • ※ティーチインはチケットもしくは半券提示でご覧いただけます。


  • 東京浮絵百景

    東京浮絵百景
  • t2z

    t2z
  • FAX FACTORY(from 東京浮絵百景)

    FAX FACTORY(from 東京浮絵百景)
  • SHADOWLAND

    SHADOWLAND
  • BUMPY

    BUMPY




  • イントロダクション

    映像・視覚メカニズムの実験を続ける映像作家、五島一浩による独自手法の3D映像作品を上映。

    長時間、立体映像を見ると、目だけではなくアタマが疲れたような気分になることがあります。私にとってそれはスポーツの後の爽やかな疲労感に似ています。
    立体映像の快楽は、もちろん「立体に見える」それ自体の驚きと不思議さにあります。視差=左右の眼の網膜に映る像の僅かなズレ情報が、脳内で処理されて「立体感」という感覚として意識されるまでには、何段階ものプロセスがあります。自分の頭の中でこの情報フローが実行される様子を想像する事は、私達の「意識」というものが、様々な知覚情報処理サブルーチンからのアウトプットを統合して「感覚」とするように仕組まれた「プログラム」であること、私達が何らかのロジカルな仕組み、「少し複雑な機械」に過ぎないことを実感できる稀有な体験のひとつであると思います。
    そこには、世界や自分の「構造」が垣間見えた事の興奮と不安があります。我は思っているはずが、「我」なんて存在していなかったんじゃないかという、足元が崩れるような不安。あるいは「存在していない」のにまるで「思って」いるように見える事の健気さ。
    帰り道の風景が、いつもと違って見える…何か重大な秘密が隠れているように見える、そんな高揚感を楽しんでもらえればと思います。
    (五島一浩)

    3Dの再発見
    五島一浩の3D作品はさまざまなことを発見させてくれる。一般的には3D映画はマーベルスタジオなどのハリウッド大作のオプションとして想像されることが多いと思うが、今回展示する作品の被写体は全て東京の風景や机の上の静物など、ありふれたものである。観客はそんな日常の光景に高度なスペクタクル性が隠れていることを発見する。また、機材も3D専用カメラではなく、一般的な1眼レフカメラなどが使われており、3Dという表現が(あえて誇張すると!)実は気軽な表現だということに気づく。そして、3Dは現実の視覚を再現するものではなく、全く別種の視覚的効果を作り出すことを発見する。特に最後のそれは『SHADOWLAND』で鮮やかに表現される。車のヘッドライトの動きで生み出された影が3D映像に変換された時、観客は日常的ではあるけれども、現実では全く見ることができない光景を眼にする。しかも実にシンプルな方法でそれが生み出されているところが視覚や映像の構造そのものをテーマにしてきた五島作品の真骨頂といえる。今回の展示で観客はアートとしての3D映像の魅力を発見するとともに、自らの視覚についての不思議さをも再発見することになるだろう。
    (イメージフォーラム 門脇健路)



    作者による作品紹介(上映順)


    東京浮絵百景  / 14分/ 2010

    1台のデジタルカメラで徒歩移動しながら大量の静止画像を撮影。そこから構築した動画に、左右の目で僅かな時間差を付加することで、立体映像を生成する。過去と未来にまたがる視覚が、見慣れた風景を新鮮なものに変貌させる。


    t2z  / 34分/ 2012

    微速移動するビデオカメラで接写。身近な物の普段意識していない質感とパースペクティブを、マクロ視点で抽出する。立体映像だけが可能にする「大きさの絶対値」の能動的な表現力。


    FAX FACTORY(from 東京浮絵百景)  / 5分/ 2018

    佐藤理氏の楽曲“FAX FACTORY”のミュージックビデオとして、“東京浮絵百景”の2D映像素材を作曲者の佐藤氏がエディット。エキサイティングなこのPVを五島が3D映像作品として再構築した。


    SHADOWLAND  / 14分/ 2013

    夜の都市を移動する無数の自動車のライト。毎夜、都市の網膜に重ね書きされる、すべての影が立体化する。誰にも読み解かれたことのない「都市の記憶」が、鮮やかにデコードされる。
    ★アルスエレクトロニカ2014 準グランプリ


    BUMPY  / 12分/2016

    日常のありふれた風景を固定カメラで撮影。その映像に時間差を加えることで生じる、実際の空間配置とは無関係な凹凸。細部を観察することで現れる様々な矛盾と混乱を楽しむ。
    ★第20回文化庁メディア芸術祭 アート部門審査委員会推薦


    IN VISIBLE TIME  / 2分/ 2023

    本展のために制作した新作3D映像作品。


    五島一浩

    アナログとデジタルの境界、感覚の粒子化をテーマにした映像・インスタレーション作品を制作している。代表作に、コマのない動画カメラシステムの発明と実践『これは映画ではないらしい』(2014)、ハイコントラストCGシリーズ『FADE into WHITE』(1996~2003)などがある。『FADE into WHITE #2』(2000)はイメージフォーラム・フェスティバル2001で大賞を受賞。2020年、アーツ千代田3331に於いて初の大規模個展『画家の不在』展を開催した。 イメージフォーラム映像研究所専任講師。岡山県立大学、長岡造形大学、城西国際大学、明治学院大学非常勤講師。

    五島一浩ホームページ