作品案内

グレース

上映日程: 10月19日〜11月22日

剥き出しのロシアの大地を舞台に、移動映画館で日銭を稼ぐ父と、思春期の不安を抱える娘の日常を追う ロードムービー

ロシア南⻄部の辺境、乾いた風が吹きつけるコーカサスの険しい山道。無愛想な目をした16歳の娘と寡黙な父親。二人は移動映画館で野外上映をし、ポルノ映画の海賊版DVDを若者に密売しながら、錆びた赤いバンで北に向かって旅をしている。母親の不在が二人の緊張した関係に影を落とし、車内には重苦しい沈黙が漂っている。延々と続く荒涼とした風景と、そこで生きる人々との束の間の出会い。やがて辿り着くのは世界の果てのような荒廃した海辺の町。娘は先の見えない放浪生活から抜け出すためにある行動に出るが...。
2023年のカンヌ国際映画祭で上映された唯一のロシア映画として大きな反響を呼んだ本作。ソ連崩壊後から時間が止まったようなロシア辺境の停滞と不穏を背景に、思春期の不安を抱える少女の成⻑を追ったロードムービーである。東欧の⺠話をもとにドキュメンタリー出身のロシアの俊英イリヤ・ポヴォロツキーが監督した。本作が撮影されたのはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が本格化する少し前の2021年秋である。直接的な描写はないが、映像の至る所に政治的な雲行きの悪さが感じられる。母親も友人もい ない。自分を守る家も法もない。生ぬるい共感や哀れみに一切なびくことなく、彼女はただやり場のない感情を沸々と溜め込んでいく。果てのない漂流の先に彼女を救うものはあるのだろうか。剥き出しのロシアの大地を舞台にした小さくも揺るぎない抵抗の軌跡は、私たちにあっけないほど美しい余韻を残すだろう。

監督・脚本:イリヤ・ポヴォロツキー/撮影:ニコライ・ゼルドビッチ/音楽:ザーカス・テプラ
出演:マリア・ルキャノヴァ、ジェラ・チタヴァ、エルダル・サフィカノフ、クセニャ・クテポワ
原題:Блажь | Blazh 日本語字幕:後藤美奈
配給:TWENTY FIRST CITY 配給協力:クレプスキュール・フィルム
2023年/ロシア/ロシア語、ジョージア語、バルカル語/119分/カラー/ヨーロピ アンビスタ

▶︎2024年10月19日(土)より公開
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《当日料金》一般:1,900円/大学・専門学生:1,400円(学生証の提示が必要)/シニア:(60歳以上)1,400円/会員:1,300円(会員証の提示が必要・同伴1名まで同額割引)/障がい者割引:1,300円(手帳の提示が必要・付添いの方1名まで同額割引)
毎月1日映画サービスデー:一律1,300円/毎週月曜日サービスデー:一律1,300円

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