LECTURER

講師紹介

 
五島一浩
映像作家
profile
学生時代より8mm映画を制作。TVゲーム『L.S.D.』などの制作に参加した後、各種映像制作、マルチメディア制作などに携わる。モノクロ・ハイコントラストの3DCG作品『FADE into WHITE』(96)が各国の映画祭で高い評価を受けた。『FADE into WHITE #2』(00)がイメージフォーラムフェスティバル2001大賞を受賞する。アナログとデジタルの境界、感覚の粒子化をテーマにした制作を続け、『東京浮絵百景』(10)では立体映像に挑戦。東京都写真美術館における『3Dヴィジョンズ』展(10~11)では、3Dインスタレーション作品『時間双眼鏡』などを発表している。『これは映画ではないらしい』(14)で平成26年度第18回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞を受賞。
message
自らの想像力の先
ある作品制作の初期。まだその完成像は漠然としたものでしかありません。例えば闇の中を手探りで進んで行くようなもの、地中の鉱脈を探し続けるようなものです。こちらの方角に何か素敵なものがあるのではないか? 経験や熟考がヒントを与えてくれます。しかし、正解は一つではありません。ある時は、小さな鉱石から鉱脈の予兆を感じたり、ある時は真っ暗な中で黙々と鎚を振り続ける。未知の分かれ道や、謎の鉱物を発見したりすることもあるでしょう。紆余曲折を経て新しい土地にたどり着くと、そこは考えてもいなかった場所かも知れませんし、すでに先人によって開拓されていることがわかって落胆することになるかも知れません。 何かを探し求めることは、常に予期しないものの発見につながります。発見は自分の興味や認識を更新し、完成像は常に変化し続けます。この、変化しつつある自分と、その視点によって切り取られる「変化の過程」は、強く探求することでしか得られない何かを作品に焼き付け、人の感動を呼び起こします。 映像を作ることは、それ自体がものの見方を探ることであり、自分の視覚・感覚を他者に開陳することです。自ら作り、また人の表現を味わうことで、より豊かさを増した視点で世界を感じ、自らの内に投影された変わり続ける世界像をまた世界へと投げかける。世界と共にダイナミックに変化していく作者と作品。そしてそれを見て変化する観客の世界観。これがコマとコマの間に「時間」を直接表現できる映像というメディアの本質のように思います。 あなたがこれから作る、まだ誰も観たことがない作品に驚かされること、それがこの世界を変えてしまうことを楽しみにしています。

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