フィルム・ビフォー・フィルム
映画が発明される遙か以前から「動く絵」の歴史は始まっていた。時代に先んじた発明家たちは、光の効果にまつわる科学的発明や遠近法など空間の法則を利用して、映像を動かす夢を実現しようとしてきた。それは時には情報を伝えるためであり、時には空想を誘うおもちゃであった。 20年以上にわたって、ヴェルナー・ネケスは「映画考古学」に関する品々を蒐集してきた。その多くは映画前史のなかで忘れ去られたものだった。『フィルム・ビフォー・フィルム』でネケスは彼自身の貴重なコレクションから数多くの品々を我々に見せ、その驚くべき関連や先駆性を示してくれる。
詩集「ディヴァン」
この映画は次の5部からなるアンソロジー・フィルムであり、『ヒュニンゲン』は独立しても上映される。1部『スン・ア・ルム』(16分)2部『アルテルナティム』(15分)3部『カンティレーネ』(17分)4部『モト』(16分)5部『ヒュニンゲン』(21分)イスラム教徒の有名な作品やゲーテの「西東詩集」を想起させる題名のこの作品は一種の詩的なアルマナック<ごった煮>である。そこにはネケスの初期作品を思い出させる習作や『T-WO-MEN』の未使用フィルムや、全く新しい実験を試みたフィルムが詰め込まれ、一見無秩序なスケッチブックの中でネケスらしい要素が全体にちりばめられている。
ヴェルナー・ネケス
1944年生まれ。ドイツを代表する実験映画作家であり「映画前史」の研究家、コレクターの第一人者。20年以上にわたって映画前史に関するさまざまなオブジェをコレクション。 主な作品に『フィルム・ビフォー・フィルム』(85)『ジュム・ジュム』(67)『ユリシーズ』(82)など。
上映作品
フィルム・ビフォー・フィルム ヴェルナー・ネケス/16ミリ/83分/1982
詩集「ディヴァン」 ヴェルナー・ネケス/16ミリ/60分/1973
※『詩集「ディヴァン」』の上映フィルムは経年による褪色をしていますが、今日では貴重となったオリジナル・フォーマットでの上映を尊重し、フィルムで上映します。