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ガイ・シャーウィン+リン・ルー
フィルム・ライブパフォーマンス
2009/6/6

ロンドン・フィルムメーカーズ・コーポのメンバーでイギリス実験映画の巨匠の1人であるガイ・シャーウィン。「イメージフォーラム・フェスティバル2002」の個展以来2度目の来日が実現。パートナーのリン・ルーと共に16ミリフィルムによるライブ・パフォーマンスを行います。

  • サウンド・カッツ

    サウンド・カッツ
  • エンド・ロール

    エンド・ロール
  • 波止場からのベイブリッジ

    波止場からのベイブリッジ
  • 母音と子音

    母音と子音
  • 鏡を持った男

    鏡を持った男

    受付

  • 当日・会員1,000円
  • 6月6日 5時スタート(7時終了予定)

作品解説

私たちの作品のルーツは、1970年代イギリスの拡張映画(Expanded Cinema)、その中でも特に「フィルムアクション(Filmaktion)というフィルム・パフォーマンス・グループにある。その哲学とは、映写という媒体のあくなき追求であり、そして映写そのものが作品の中心の位置を占めるようなライブ・アクションとして、映画を再考することでもある。
このような拡張映画においては、映写機・映写機からスクリーンへと放たれる光・スクリーンそのもの・そしてパフォーマー兼映写技師であるアーティスト(まるでミュージシャンの楽器のように、映写機をライブ・パフォーマンスの道具として使う)までもが、一緒になってひとつの作品を作り上げる。作品はしばしば、自由で、即興的な、まるでジャズのような質感を持つ。
私たちの作品へのアプローチは、その過程によって変化する。16mmフィルムそのものを使い、通常は手作業によって焼きつけと現像を行う。
さらに、準備されたものではない偶然の要素もまた作品にとって重要であると考えている。例えば「母音と子音」という作品では、上映される各会場で異なるミュージシャンやサウンド・アーティストを招き、たいていはリハーサルをせずに演奏してもらった。
私たちのすべての作品は、フィルムそのものを作品の中心に据えている(フィルムを物語を伝えるための単なる媒体として扱うのではなく)。これは、1920年代にヨーロッパで始まった、長い伝統を持つ実験にのっとっている。その中では、光・時間・リズム・音響と同様に、物質としてのフィルムそのものが、作品の作られる過程で重要な役割を果たす。
私たちの作品は、ひとつのスクリーンにひとつの映像を映すという形態から離れて、フィルムの物質としての存在感を強調するような形をとっている。その存在感こそが、デジタル媒体にはないフィルムの特徴である。会場に響く映写機のうなるような音やカタカタというささやきは、フィルムの持つ力を意識させ、その魅力で私たちを刺激する。
(ガイ・シャーウィン)

ガイ・シャーウィン

1960年代後半にチェルシー芸術学校で絵画を勉強したのち、70年代半ばころにはLondon Film-Makers' Co-opにて、フィルムのプリントと加工を教えていた。作品を通して、音と映像のフィジカルな関係性や、映写のメカニズム、パフォーマーとフィルムの間での相互作用などを探求している。パートナーであるリン・ルーと共に制作活動をすることが多い。
 書籍とDVDに収められた作品集『Guy Sherwin - Optical Sound Films 1971-2007 』がLUX より2007年に出版された。
 詳細は  http://www.luxonline.org.uk/artists/guy_sherwin/index.html

リン・ルー

 シンガポールで育ち、シカゴ・アート・インスティチュートで実験映画について学ぶ。2004年にLondon Film-Makers' Co-opで見た70年代の作品に大きな影響を受け、物質としてのフィルム(セルロイド)の研究、及び複数の映写機を使ったパフォーマンス的な作品の発表を始めた。「母音」(05)という作品では、フィルムに焼付けられた書体そのものがサウンド・トラックとなり、最新作である「エンド・ロール」(09)は制作、フィルムの加工、上映というすべての過程で光を強調した作品である。2005年以降は、ガイ・シャーウィンと共同で多数のパフォーマンスや上映を行う。アーティストとしての活動のほかに、フィルム・アーカイビストとして働いている。

プログラム

サウンド・カッツ
ガイ・シャーウィン+リン・ルー/12分/2007-09
エンド・ロール
リン・ルー/10分/2009
波止場からのベイブリッジ
ガイ・シャーウィン/9分/2002
母音と子音
ガイ・シャーウィン+リン・ルー/15分/2005-08
鏡を持った男
ガイ・シャーウィン/10分/1976-2002