イントロダクション
2010年から制作を開始した8ミリフィルムのコマ撮りによる日記映画シリーズ「ガタゴトフィルム」。2025年に完成した新作『自由業日記』を中心に、近年完成した5作品を展示形式で発表する。これまで本シリーズでは、作品内にタイトル以外の文字情報はなかったが、新作『自由業日記』では撮影した日付を表示した。本作のサブテキストとして、映画のコマと各日付の日記から抜粋した文章で構成した冊子版「自由業日記」を制作し、会場で販売する。(WEB版は無料公開中:https://note.com/notkenta/m/ma6187cd2e5e1)また、2010年に撮影を開始した最初の『ガタゴトフィルム』から最新作まで、フィルムで制作した作品をスクリーンで一挙上映。上映後には、アニメーションと日記映画の制作者を招いたトークを行う。
展示作品 5作品
自由業日記 8mm→デジタル/10分/2025
花束 8mm→デジタル/4分/2024
デート・ムービー 8mm→デジタル/1分/2024
工事現場のスクリーン デジタル/10分/2023
☀★✈←→ デジタル/11分/2023
※それぞれスクリーン/モニターでループ上映/再生(同タイトルの上映作品と同内容)
上映プログラム 9作品65分
Seiji-Film 23.98fps/20分から抜粋上映/2012
ガタゴトフィルム 18fps/6分/2011
ガタゴトフィルム交換日記 29.97fps/5分/2012
快速急行ガタゴトフィルム 23.98fps/21分/2016
あなたの人生の到着 30fps/7分/2018
カラオケビデオ 18fps/4分/2024
☀★✈←→ 18fps/11分/2023
工事現場のスクリーン 18fps/10分/2023
デート・ムービー 30fps/1分/2024
花束 18fps/4分/2024
自由業日記 18fps/10分/2025
※全て8ミリフィルム撮影、デジタル上映
作品概要
Seiji-Film
作者の祖父の8ミリフィルムによるホーム・ムービーと、父がまとめていた家族アルバム、祖父の遺品の8ミリフィルムで撮影した映像で構成した作品。完成度の問題で封印した大学院の修了制作を参考上映。
ガタゴトフィルム
8ミリフィルムのコマ撮りによる最初の作品。コマとコマの間に予想可能な運動が生まれないことを意識しながら撮影した。音声は映写機の駆動音をスロー再生して列車の走行音を真似た。2010年10月30日から、2011年1月5日までの記録。(2023年に再スキャンした最新版)
ガタゴトフィルム交換日記
2012年1月から5月に撮影したフィルムと、作者の祖父が1959年4月から11月に撮影したフィルムとをコマ単位で交錯させた作品。1コマずつ、パーフォレーションまで見える形でテレシネした。高速で入れ替わることで、新旧8ミリフィルムのフォーマットの違いが顕在化する。
快速急行ガタゴトフィルム
様々なコマ数で撮影された日常風景と、乗り物から撮影された映像。それぞれの運動を持った二つの映像を1コマ単位で編集することで、新たな運動を生成。2012年から2015年までに撮影した映像を、2015年にタイ旅行したときの列車の映像で挟んだ。
あなたの人生の到着
2017年6月29日12時25分にiPhoneで撮影した動画を、2016年1月から2017年8月までに撮影した8ミリフィルムで再構築することで、ある一瞬に様々な時間が同時に訪れることを表現した。デジタル化した8ミリフィルムを重ねPhotoshopで削り取ったデジタル・シネカリグラフィ。
カラオケビデオ
とあるカラオケ映像の背景部分。2017年8月27日から2019年1月3日までの日記フィルムで構成した。
☀★✈←→
朝と夜、玄関から見える空を1コマずつ撮影した。羽田新ルートを通る旅客機がその空を横切る。流しに飾った花に近寄ったり離れたり。毎日玄関から見ていた立体駐車場は取り壊され、住宅展示場になった。2018年7月から2023年7月までに8mmフィルムで撮影した日記。
工事現場のスクリーン
前作『☀★✈←→』から、工事にまつわるコマを抜き出して繋いだ作品。デジタル空間のなかで、フィルムをビュワーで見る感覚を再現した。工事現場のスクリーンに、通りすがりの人の影が投影され映画上映が不意に再現される状況と、デジタルでフィルムを再現する過程を重ね合わせた。
デート・ムービー
恋人とデートをするときにだけ持ち出すカメラがあった。そのカメラに5年間入ったままになっていた8ミリフィルムを現像・スキャンし、撮影したフィルムから人物をトレースした。トレースすることで抽象化された、2019年から2022年までの愛しさの記憶。
花束
勤めていた大学を退職するにあたり、学生から花束と8ミリフィルムをもらった。その8ミリフィルムを使って、映像の花束をつくって返すことにした。花束をもらった2024年1月20日から、8ミリフィルム50フィートを撮り切った3月8日までの日記。
自由業日記
勤めていた大学を辞め自由業になってから1年間の日記映画。8ミリフィルムの映画日記と紙の日記を照らし合わせ、日付を入れた。撮らなかった日、カメラが不具合で空回りしていた日は、日付だけがカウントされる。2024年3月9日から2025年4月14日までの日記。
トークゲスト・プロフィール
折笠良(アニメーション作家)
1986年生まれ。茨城大学教育学部、イメージフォーラム映像研究所、東京藝術大学大学院映像研究科で学ぶ。主な作品に『Scripta volant』(2011)、『水準原点』(2015)、『われわれの部屋』(2016)、『みじめな奇蹟』(2023)などがある。2025年、柳井イニシアティブの企画「文学ビデオ」第2弾として高柳誠の同名の詩を原作とする『落書』(2025)が完成。
川上さわ(映画監督)
2002年岡山県うまれ。23歳。2024年に初長編監督作「地獄のSE」が全国公開された。私的な理由で撮られたフィルムに興味があり、それらの収集・制作・上映も行っている。あとはときたまいろいろな集まりを開催することもある。ミスiD2021アメイジングミスiD受賞。クマ財団7.8.9期奨学生。
作家プロフィール
野村建太
1987年京都府生まれ。2012年、日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了。日記とアニメーションをテーマに創作と研究を行う。作品は、国内外の映画祭で発表。過去の特集上映に、「ガタゴトフィルムの到着 野村建太映像個展」(イメージフォーラム・シネマテーク、2018)、「記憶×モジュール 〜日記映画とモジュラー・シンセサイザーの夕べ〜」(おぐセンター、2023)がある。アニメーション映画『この世界の片隅に』では、特殊作画・演出補を務めた。https://sites.google.com/view/nomurakenta










