映像作家への第1歩
多くの映像作家を輩出してきたイメージフォーラム映像研究所の2022年度(第46期)卒業制作展。
今年は映像アートコース、アニメーションコース、専科コース合わせて26作品を5プログラムで上映。
1年を通じて築かれたイメージが鮮やかに結実する、映像作家への第1歩。
上映プログラム
Bird Song 鈴木 葉月 / 5分 / 2023年〈アニメ〉
頭の中のシナプスツリーに集う鳥たちがさえずりをはじめるとき思考が色めき、閃き・煌めきが生まれる。そんな想像上の鳥のイメージをめぐるドローイングアニメーション。(S.H)
Sunset 高橋 里英子 / 5分 / 2023年〈映像〉
「現実」というものは、目の前にある様でいながら、掴みどころがないもの。抒情詩のように抽象的な言葉とともに、8mmフィルム、顕微鏡カメラなどを使った映像技法で、短く儚げな世界を描く。(T.R)
境 Ava / 20分 / 2023年〈映像〉
寝ているうちに夢を見て、目が覚めない限りそれが現実かどうかわからないまま、いいえそれが現実だと思い込むでしょうね。すべてが脳のなかで完成しあり得ないことも起こり得るそんな不思議で奇妙な夢の中の世界を少しでも表現できたらなと思っております。(A)
ADDICTION 本多 優之介 / 9分 / 2023年〈映像〉
太陽が昇って沈むまでの間に温度は9度上昇し、蒔いた種は立派な果実を実らせる。
それらの活動とは無関係の場所で、どこかからワープの如くやって来た「走る人」がここからすぐそこへと、様々な場所を経由して到達し続ける。
あらゆるものに訪れる”To”の時。(H.Y)
何回生まれ変わればいいの? nene / 20分 / 2023年〈映像〉
女性の心情のゆらぎが交差した世界、夢と現実のはざまに見る白昼夢、一日の始まりは狂気へと変貌する。日常のカットから構成された世界はコラージュや多重露光、コマ撮りなどの手法で実験的な挑戦を誘発し、独自の世界観を構築するピースとなり繋がってゆく。(N)
暝映 芝田 日菜 / 25分 / 2023年〈映像〉
日没によってあらわれる陰のなか、暗くなるにつれ、闇が深くなるにつれ、映画の光は浮び上がる。
そうして、ふたりの少女は夜の光をみつめる。
これは、しらない記憶。みたことのない夢。(S.H)
須弥山町0番地 遠藤 直隆 / 4分 / 2023年〈アニメ〉
森を抜け、野に咲く花をすぎて、須弥山と呼ばれる町にたどり着く男。昭和な街頭広告や飛び交う娯楽情報が男の脳を侵食すると、脳内に快楽物質が分泌され、やがて男の分身となって頭から飛びたし大空を飛び回る。版画によるアニメ作品。(E.N)
drop SAYO / 20分 / 2023年〈映像〉
葛藤を抱えるA、まっすぐなB、夢の世界に住むC、
それぞれの行動はそれぞれで、交差するかもしないかもしれない。
それでも平等に、どんなことをしても、一滴、一滴、何かになる。湖に落ちるしずくのように。
drop、キャンディ、ひとしずく。(S)
長野旅行 勝俣 創介 / 28分 / 2023年〈映像〉
カメラマンをやってる友人と長野旅行へ。最近映像を撮りはじめた僕が、友人にカメラの使い方を教えてもらいながら、なんとなく回していく。自分の目ではない、レンズが対象を眼差す違和感を楽しみながら。(K.S)
Hermit Crab 水野 寛子 / 6分 / 2023年〈アニメ〉
「そういえば、あの家ってどうなっただろう?」
とある男性が、数年前まで住んでいた家について教えてくれた。
そのエピソードを基に、想像し妄想をして制作したアニメーション作品。(M.H)
小川貴史作品集 小川貴史 / 30分 / 2023年〈映像〉
8ミリで撮った作品3本。『What should I do?』山形美智子さん主演の映画。『SHOT』撮ることと撮られること。『サンタクロースは死んだ(未完の作品)』。(O.T)
fraction 笹田 伶 / 9分 / 2023年〈映像〉
落とす、落ちることへの好奇心と、そこに至るまでの女性を描いた。fractionは、ほんの僅かという意味であり、なるべく、女性の表情から読み取れる心情のようなものは排除し、淡々とした。(S.R)
夢の迷宮 試作 燕 賽男 / 5分 / 2023年〈映像〉
迷宮の中にいるとき、出口を探さなければならないのですが、いつも遭遇するものに気を取られてしまいます。それは昆虫であったり、幼い頃の記憶であったり、内なる影であったり、執着であったりします。それを実写とアニメーションを組み合わせて表現したのです。(Y.S)
手のひらの水なも 北川 未来 / 15分 / 2023年〈映像〉
「思い出す」という行為は、静かで力強い。
このことをどうやって映像で表現できるのか。
記憶は過去のものではなく、今の自分が作り出しているもの。
常に変化し、留まることなく、流れ続けていくものだと信じて制作しました。(K.M)
Baby Say Goodbye 王 虹 / 57分 / 2023年〈映像〉
恋人との映像日記。(O.N)
音響結晶化現象 遠藤 直隆 / 6分 / 2023年〈映像〉
自宅多重録音による音響作品制作を通して、その過程で発生する個々の音像世界を、3DCGやライティングを駆使して視覚映像化する。(E.N)
猫そっくり 青猫 / 3分 / 2023年〈アニメ〉
ある猫が贅沢なひとり時間を過ごそうとしたけど、なんだかんだ色々動いていた。長い間、猫と して地球に住むの窮状を誰に相談したらいいのかわからなかったが、これからは自分が聞く側に なれるのだ。経験を積んだ私の目には、もはや「猫」と「地球人」 の明確な区別はない。(A)
4Days 大戸 香穂 / 15分 / 2023年〈映像〉
心に引っかかった過去の作品を新しい形に生き返らせようとしてみた四日間のセルフドキュメンタリーである。(O.K)
『かぶ』 松岡 徹 / 20分 / 2023年〈映像〉
跡継ぎ問題で頭を悩ませているお店の旦那。知恵を絞って策を練るのだが、果たして上手くいくのやら。
仕事から得られるお金以外のもの、例えば生き甲斐や誇りといったことについて考えながら、作品に取り組みました。(M.T)
Keba na likama !!! 斎藤 春佳 / 5分 / 2023年〈映像〉
みなさんは、西アフリカはコンゴ民主共和国、
キンシャサという街をご存知ですか?
人がいっぱい、車もいっぱい、日本との時差は8時間、
あなたが夢を見ている頃も、そこでは何かが起こっています。
La brise, pendant un instant.(S.H)
異郷人 王 山 / 45分 / 2023年〈映像〉
忘れ去られた者たちが辿り着く街、東京・山谷。十数年前から、ここで一軒の居酒屋を開いている中国人の女性。彼女が相手するのは、夜な夜なカラオケしに来る日本人男性の客たち。異郷人の彼女と彼らは、この街に何を見る?我々はどこから来て、どこに向かう?(O.S)
Into the Black Hole 木口 英 / 10分 / 2023年〈専科〉
現実逃避か、それとも現実なのか。...その区別は必要か。(K.E)
NOZOMI224_SPLIT SCREEN H.NAOFUMI / 10分 / 2023年〈専科〉
新幹線(名古屋ー東京)のぞみ224号 GOPROにて撮影
流れるような景色が万華鏡を覗いているかのような感覚を表現できれば・・・(H.N)
お正月の過ごし方 ワン イチェン / 18分 / 2023年〈専科〉
カメラを回したら、なくなった人たち、ものやことも忘れられない記憶になる。
2023年のお正月を迎えて、8ミリカメラで過ごし方を記録した。(W.Y)
ユートピア 森 友希 / 10分 / 2023年〈専科〉
生まれ育った団地を歩く。
ここは昨日と明日の隙間。ここはどこでもない世界。(M.Y)
専科合同プロジェクト 作品上映20分+トーク30分 (予定)
2年目の受講生を対象とする専科では個々の卒業制作に加え、合作を手掛けた。編集を切り口に映像表現の本質を考える実験として、同じ素材を使って全く異なる作品をそれぞれが制作。さらにそれらが一つの作品として構成されることで新たな物語を作り出す。
映像:映像アートコース
アニメ:アニメーションコース
専科:専科コース