『ウォールデン』は、メカスが1964年から69年に撮影した映像が、時系列に並列されている。『ウォールデン』は、個人的な日記映画でありながら、メカスが身を置いたニューヨークのアートシーンのポートレートでもある。アンディ・ウォーホルと彼の“ファクトリー”のメンバーたちによるパーティー、ギンズバーグらビートニクの詩人たちのリーディングの様子、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド結成時のライブ映像、ジョン・レノンとオノ・ヨーコによる“ベッド・イン”の模様など、文化の歴史的な瞬間の貴重な記録にもなっている。
“さて、親愛なる観客の皆さん。(略)皆さんにはこの映像をただ見つめてほしい。特に何も起きない。映像は流れ、そこには悲劇もドラマもサスペンスもない。単なるイメージ。私自身と、その他の少人数のためのもの。見る必要の無い人もいる。見なくたっていい。しかし見るべきだと思ったら、座って映像を見つめればいい。私が分かるのは、人生が続いていくように、映画も長くはそこに存在しないということだ。大洋の岸辺ののどかな小さな町も、やがてはなくなるだろう。朝の船もなくなるだろう。もしかしたら木も花も。全てなくならないとしても、今ほど多くはないかもしれない。これが『ウォールデン』。あなたが見ているもの。”
—『ウォールデン』ナレーションより
もしそこにメカスのカメラがなかったとしたら、幸福の断片の瞬間は、地上から永遠に消え去ってしまう
中沢 新一 ( 人類学者・思想家 )
ジョナス・メカスの映画は人生を讃える。世界の圧倒的な商業主義に対抗して立ち上がり、その代わりに友情や初雪、春の訪れがもたらす喜びを蘇らせる。 メカスの才能は、観客を寛大に彼の世界に包み込み、単純なイメージで、驚異的な力と詩への希求を<再>発見させるところにある。
ヤン・ボーヴェ ( 映像作家 )
ジョナス・メカスは映像作家以上の存在だ。彼は我々の住む世界のリアリティーを改めて創造する。<中略>私が『ウォールデン』を薦めるのは、今がこの作品を再発見するのに一番のタイミングだからだ。メカスの作品では、時間のみが一直線に流れ、物語はそうではない。この作品を観ながら、観客はメカスの物語への予言者的なアプローチに気付くであろう。
ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(キュレーター)www.electronicbeats.netより
メカスの映画の最良の部分を見出すことができるのが、情熱に満ち、圧倒的なフィルム『ウォールデン』である。
エデュアール・ワイントロープ ( カンヌ監督週間芸術監督 )
『ウォールデン』はリュミエール兄弟に捧げられている。彼らが日常をとらえた同じやり方で、過ぎ去ってしまった世界に命を吹き込むのだ。
ニック・ピンカートン ( ヴィレッジ・ヴォイス紙 )
まるでソローのように、メカスもマンハッタンに「取り囲まれて」いたのかもしれない。しかし、花たちや木々や夕日、そのほかさまざまな自然の姿が、至る所で都会の風景に生き生きとした色どりを添えている。
デイヴィッド・E・ジェイムス ( 映画評論家 )
2014年 3月15日(土)〜3月20日(木)
◎ 13:00〜
『ウォールデン』第一部(リール1・2・3 合計90分)
◎ 14:50〜
『ウォールデン』第二部(リール4・5・6 合計90分)
2014年 3月8日(土)〜3月14日(金)
◎ 16:40〜
『ウォールデン』第一部(リール1・2・3 合計90分)
◎ 18:35〜
『ウォールデン』第二部(リール4・5・6 合計90分)
2013年 11月23日(土)〜12月13日(金) 連日21:00〜
◎ 11月23日(土)〜12月3日(火)
『ウォールデン』第一部(リール1・2・3 合計90分)
◎ 12月4日(水)〜12月13日(金)
『ウォールデン』第二部(リール4・5・6 合計90分)