作品案内

ジャック・タチ映画祭

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上映日程: 8月11日〜8月31日

Bonjour!フランス映画史に燦然と輝く異才、ジャック・タチ。超大作『プレイタイム』、幻の名作『パラード』(劇場未公開)を含む前監督作品をデジタル復元版にて、四年ぶりの再々上映決定!

フランスを代表する映画監督であり、ミュージックホール出身の喜劇役者ジャック・タチ。その唯一無二の作品たちは、世界中の人々に熱狂的に愛され続けています。異様なまで細部にもこだわり完璧に創り上げられた映像美は、同時代のオーソン・ウェルズやジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリフォーらを魅了し、緻密に計算された音楽や音の使い方は多くのミュージシャンたちに、今なお影響を与えています。自らを破産に追い込んだ超大作『プレイタイム』、タチが演じるユロ伯父さんが活躍するアカデミー賞(R)外国語映画賞に輝いた『ぼくの伯父さん』、遺作であり劇場初公開となる『パラード』、17分の未公開シーンを追加したデビュー作『のんき大将脱線の巻【完全版】』など、タチの魅力がいっぱい詰まった全監督6作品を完全デジタル復元版にて一挙上映です。監督や脚本を手掛けた短編作品、娘ソフィー・タチシェフの監督作品など短篇7作品も合わせて上映します。映画表現の自由を謳歌し、人間の滑稽さや愚かさをユーモアで描きだす、エスプリの効いたタチ流"人間賛歌"!!ぜひ、この貴重な機会にご覧ください。

最高をいつも追い求めたタチ。デジタル復元で実現した、これぞ決定版!

フランス初のカラー撮影、70ミリフィルムの使用、ビデオカメラ撮影、音声トラックのミキシングなど、タチはいつも最先端の技術を使い独自の世界観を作り上げてきました。作品へのこだわりは公開後にまでおよび、自ら映画館へと足を運び観客の反応によって編集し直すこともあったそうです。今回の大規模なデジタル復元は、タチが制作当時に意図したことを忠実に再現するために、撮影日誌や制作資料から当時の手紙まで読み込み作業が行われました。現存する素材から状態が良い部分を厳選し、各作品に適した方法で、タチが意図した編集を可能な限り復元することに成功した、これぞ決定版です。

配給:日本コロムビア/配給・宣伝協力:Playtime/提供:メダリオンメディア
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
協力:ユニフランス・フィルムズ

Aプログラム『プレイタイム』
1967年/カラー/124分/ビスタ/日本語字幕:寺尾次郎/出演:ジャック・タチ、バルバラ・デネック、ジョルジュ・モンタン
●撮影日数345日、総制作費は15億フラン (当時の為替レートに換算して約1,093億円!)、資金不足での中断は6回、全編70mm撮影という超大作であり、タチを破産に追い込んだ究極の野心作。半年以上もの歳月を費やし、パリ東部に建設した「タチ・ヴィル(タチの都市)」と呼ばれる近未来的都市の中で、アメリカ人観光客の娘・バーバラと、タチ自身が演じる「ユロ伯父さん」の邂逅をユーモアたっぷりに描く。公開当時、一部の観客からは熱狂的支持を得たものの、興行的には大失敗。しかし、カンヌ国際映画祭で上映されるなど、近年、急速に再評価が進み、監督ひいては映画芸術の"頂点"と言われている大傑作。

Bプログラム『ぼくの伯父さん』
1958年/カラー/116分/日本語字幕:柴田香代子/出演:ジャック・タチ、ジャン=ピエール・ゾラ、アドリエンヌ・セルヴァンティーほか
●プラスチック工場を経営するアルペル氏の邸宅は、至る所が自動化された超モダン住宅。そこにはユロ氏の姉である夫人と息子のジェラールが暮らしている。ジェラール少年は堅苦しい自宅にいるよりユロ伯父さんと遊ぶのが大好き。だが、夫妻は下町暮らしで無職のユロ氏が心配で仕方がない。就職やお見合いを世話しようとするが…。「ユロ伯父さん」の日常を描いた長編第3作目。大胆な色彩設計にもとづく大掛かりなセットを建設しカラー撮影を敢行した。米国流の効率や成長重視の姿勢に対する批評的な視線も鋭く、世界的な監督としての地位を確立した記念碑的作品。興行的にも大成功を収め、タチ=ユロ伯父さんのイメージを決定づけた。

Cプログラム『トラフィック』
1971年/カラー/97分/日本語字幕:深沢三子/出演:ジャック・タチ、マリア・キンバリー、マルセル・フラヴァルほか
●パリの自動車会社の設計技師であるユロ氏は、アムステルダムで開催されるモーターショーに、自慢の新型キャンピングカーを届ける任務を負う。広報の若いアメリカ人女性マリアとトラックの運転手と共に現地に向かうものの、パンク・渋滞・交通事故など、数々のトラブルが一行にふりかかる…。長編第5作目にあたる本作は、タチ最後のフィルム作品。「田舎と都会」「機械と人間」「車と動物」といったタチ的主題の集大成といえる後期の円熟作。ラストシーンではタチ映画史上で唯一の雨が降り、ユロ氏の蝙蝠傘が開くシーンは必見!

Dプログラム『パラード』
1974年/カラー/90分/日本語字幕:関美冬/出演:ジャック・タチ、カール・コスメイヤー&雌ラバ、ウィリアムズ一家ほか
●家族連れで賑わうサーカスで、タチ演じるロワイヤル氏が率いる一座の出し物がはじまる。手品や曲芸が披露される中、やがて観客も演目に参加し、いつしか客席と舞台の熱気は一つに溶け合っていく…。スウェーデンのテレビ局の招きでTV用として製作された長編6作目にして最後の作品。この時タチはすでに66歳ながら、4台のビデオカメラを駆使し、わずか3日で撮り上げた。フランスでビデオからフィルムに変換して公開された最初の作品でもある。タチがミュージック・ホール出身の芸人であることを改めて思い出させるパントマイム芸を堪能できる貴重な作品。

Eプログラム『のんき大将 脱線の巻【完全版】』
1949年/白黒/87分/日本語字幕:寺尾次郎/出演:ジャック・タチ、ギィ・ドゥコンブル、ポール・フランクール、サンタ・レッリほか
●夏のある日、フランスの小さな村に毎年恒例の祭りの時期がやってきた。のんきでお人好しの郵便配達人フランソワは、テント小屋で上映されているアメリカの郵便配達の記録映画を見て、ヘリコプターや飛行機に乗り神業のような早さで配達をする様子にショックを受ける。その後、彼は一念発起して自分もスピード重視の配達を実践するが、次第にやりすぎて「脱線」していく…。長編監督デビュー作。映画界に忽然と現れた本格的ドタバタ喜劇に、一躍タチの名前は世界に轟くことになる。未公開シーン17分を含む完全版。

Fプログラム『ぼくの伯父さんの休暇』
1953年/白黒/89分/日本語字幕:柴田香代子/※78年版を基に修復/出演:ジャック・タチ、ナタリー・パスコー、ルイ・ペロー、ミシェル・ローラほか
●とある海辺のリゾートホテル。バカンス客たちは海水浴に、テニス、乗馬、ピクニックを楽しんでいる。そこにボロ車でやってきたユロ氏(タチ)。なぜだか彼の行くところ全てで騒動が巻き起こり…。長編第2作目。「世界に通じる表現」を求めてタチが生み出した「ユロ氏」の記念すべきデビュー作。チロル帽にパイプ、個性的な歩き方、モゴモゴとしか話さないユロ氏。本作で観る人次第で無数の筋立てと結末があるという独自の喜劇世界を創出した。

Gプログラム『短編集セレクション』
『郵便配達の学校』(短篇)/1946年/白黒/16分/日本語字幕:寺尾次郎/出演:ジャック・タチほか
●タチ演じる郵便配達の学校で訓練を受けたフランソワが、所定の時刻に配達を行う為に、スピード配達を実行することから生じるドタバタ模様を描く。タチの監督デビュー作。ハリウッドの無声喜劇を彷彿とさせるセンスが、フランスの観客や批評家からも強い支持を受けた。タチ夫人のミシュリーヌ・ウィンテールもカフェのダンス・シーンで出演している。

「ぼくの伯父さんの授業」/1967年/カラー/29分/日本語字幕:柴田香代子/監督:ニコラス・リボウスキー/出演:ジャック・タチ、マルク・モンジューほか
●超近代的なビルの一室で、ユロ氏が黒いスーツのビジネスマンらしき生徒たちに奇妙な授業をする。その内容は、タバコの吸い方、馬の乗り方、階段でのつまづき方といったナンセンスなものだった…。資金切れによる『プレイタイム』撮影中断時にセットと役者をそのまま流用して撮られた短篇。

『家族の味見』(短編) /1976年/カラー/14分/監督:ソフィー・タチシェフ/日本語字幕:岩辺いずみ
●とある小さい村のパティスリーは、村の男たちに大人気。この店にはおしゃべりしたり、カードゲームに興じたり、隠れた欲求を満たしに訪れる常連客でいつもいっぱい。何故なら、ここのレシピはちょっと特別で…。『プレイタイム』などの編集にも参加したタチの実娘ソフィーの監督作。愛する父の日常における優れた観察眼と、市井の人々へ向ける愛情を受け継いだ可愛らしい小品。

「フォルツァ・バスティア'78/祝祭の島」(短篇)/1978年-2000年/カラー/28分/日本語字幕:松岡葉子/監督:ソフィー・タチシェフ、ジャック・タチ
●1978年春、フランスのチーム「SECバスティア」はオランダのチーム「PSVアイントホーフェン」とUEFAカップの優勝をかけて対決した。フランスチーム初の優勝への期待が高まる中、タチはクラブ会長ジルベール・トリガノの依頼でコルシカ島とサポーターたちを撮影。タチの死後、実娘のソフィーが実家の物置でラッシュを発見。00年に再編集して完成させた短編。

当日料金:一般1,500円/学生・シニア1,200円/会員1,100円

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