アレクサンドル・ソクーロフの宇宙 Vol.1

静かなる一頁

WHISPERING PAGES


■モノクロ+カラー/ロシア+ドイツ合作映画/1時間17分/1993年/1994年劇場公開
静かなる一頁─19世紀ロシアの散文をモチーフに─ WHISPERING PAGES ■脚本・監督=アレクサンドル・ソクーロフ
■撮影=アレクサンドル・ブーロフ■美術=ヴェーラ・ゼリンスカヤ■音楽=グスタフ・マーラー「亡き子をしのぶ歌」(歌詞=フリードリヒ・リュッカート/演奏=マリインスキー劇場交響楽団/指揮=アルギトラス・パウラヴィチュス)/O・ヌッシオ「音楽と絵画」(指揮=G・ロジェストヴェンスキー)■編集=レダ・セミョーノバ■ダイローグ=ユーリー・アラボフ/アンドレイ・チェルヌィフ■製作=タマーラ・モギリニコヴァ/レンフィルム
■出演=アレクサンドル・チェレドニク(主人公)/エリザヴェータ・コロリョーヴァ(少女)/セルゲイ・バルコフスキー(役人)  
■1994年ベルリン国際映画祭、サンフランシスコ国際映画祭、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭、ロカルノ国際映画祭、エジンバラ国際映画祭、レミニ映画祭、ゲント映画祭、ダンケルク映画祭、シカゴ国際映画祭、ストックホルム映画祭、ほか特別招待作品
■モノクロ+カラー/ロシア+ドイツ合作映画/1時間17分/1993年作品/日本では1995年劇場公開

●現代世界映画を代表するソクーロフの代表作 タルコフスキー、パラジャーノフ以降の旧ソ連を代表する映画監督として知られていたこの監督が、いまやゴダール、タルコフスキーともに現代世界映画を代表する作家として新たなステージに登場したことに誰もが息をのんだ。エイゼンシュテイン以来の映画大国ロシアは、ペレストロイカによる自由化とともに再び新たな才能の数々を続々と登場させているが、その最大の収穫がソクーロフである。
●ドストエフスキーの「罪と罰」など19世紀ロシア文学の伝統が20世紀末、偉大なる映画芸術として初めて豊穰の花を開かせた
19世紀ロシア文学を代表するフョードル・ドフトエフスキーのみならず、ニコライ・ゴーゴリ、ニコライ・オストロフスキー、マクシム・ゴーリキーらロシア文学の巨匠からインスパイアされたこの作品は、文学を映画化した文芸作品などではなく、まさに映画芸術として、20世紀初頭のロシア・アヴァンギャルドの実験精神すら内包する壮大な企図を予感させる作品として完成した。
●19世紀的主題が、新たなイメージとSF的とでも言える独創的な手法でよみがえった傑作!
19世紀末を思わせる霧に濡れそぼる波止場。乞食や娼婦、ちんぴらなどがたむろする廃墟のような街角に老婆殺しのニュースが伝わる。主人公の若者とざわめきたつ人々。我先に建物から嬉々として飛び降りる人々。その先は死か、あるいは幻想の水中都市か。殺人を犯した孤独な青年と娼婦に身を落とした薄幸の少女との出会い。神を信じて救いを求めなさいと迫る彼女に、若者は神などいないと言葉を吐き棄てるが……。
ドラマはまるで宇宙船を思わせるような不思議な空間の中で繰り広げられる。ストルガツキー兄弟などロシアSF文学にも通じる映像感覚にソクーロフの並々ならぬ才能が発揮される。
●聖なる娼婦を演じるのは撮影当時、若干14歳の美少女エリザヴェータ・コロリョーヴァ。そして主人公を演じるのも、いかにもソクーロフ好みの美青年アレクサンドル・チェレドニク。まったく無名の二人のもかかわらず、その魅力的な存在感はこの重厚な内容に相応しい奥行きを与えることに成功している。
●「マーラーのスタイルはドストエフスキーにとてもよく似ている。」ソクーロフ
まさにこの映画のために書かれたのではないかと思わせる美しい調べは、G・マーラーの歌曲「亡き子をしのぶ歌」。ドイツのロマン派詩人F・リュッケルトの詩に、自らの死の運命を自覚したマーラーが書いた一曲と言われている。ソクーロフはこの曲こそ『静かなる一頁』全体の雰囲気を形作っていると言い、ドフトエフスキーとマーラーの作品の近似性を語っている。


ビデオ・データ

■HiFi-MONO/VHS■販売専用 ■定価=税抜7,500円 ■商品番号=DAV96040


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