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◎フィルム・ヒストリー
映像機材の普及を通じていまや身近になった映像表現。その様々な表現の歴史を辿ってみると、産業としての映画とは別のアートとしての映画(実験映画)という大きなムーブメント、そして数々の冒険者・先駆者たちに出会います。映像というメディアの特質に根差したこのもう一つの映画史の流れを、映画前史、 20年代前衛映画、戦後アメリカのアンダーグラウンド映画、そして現在の新しい映像アートまで、時代を追い内外の代表作を見つつ映像作家のユニークな思考と表現にふれましょう。
講座日程■8月3日(月)〜8月9日(日)
時間■午後6時30分〜9時30分
受講費■12,000円(消費税込み)
定員■30名
●上映作品(外国)
月世界旅行<ジョルジュ・メリエス、02>
マジシャンで劇場経営者だったメリエスの最も有名な作品。多重露光やストップモーションを多用してJ・ヴェルヌの世界を描く世界初のSF映画。
理性に帰る <マン・レイ、23>
シュルレアリスムを写真で実践したマン・レイの代表作。フィルムに直接光を当てて物体の影を写し出す「レイヨグラム」を映画でみせる。
幕間<ルネ・クレール、24>
舞台劇の幕間に上映されたシュールレアリスティックなイメージの連続。特殊撮影も魅力だがサティやデュシャンなど出演者も豪華。
アンダルシアの犬<ルイス・ブニュエル+サルバドール・ダリ、28>
ブニュエルとダリがお互いのイメージを交換して作られた悪夢的シークエンスをつなげたシュルレアリスム映画の代表的作品。
午後の網目 <マヤ・デレン、43>
米アンダーグラウンドシネマの先駆的作家の一人マヤ・デレンの衝撃的第一作。象徴的なオブジェと作者自身のパフォーマンスで構成された神話的体験。
ドッグ・スター・マン(序章)<スタン・ブラッケイジ、61>
1960-64年、映画制作と一体になった生を撮り続けた壮大な個人的叙事詩「ドッグ・スター・マン」のプロローグ。前編サイレントの伝説的映画。
カストロ・ストリート<ブルース・ベイリー、66>
ゲイ文化発祥の地「カストロ・ストリート」の端から端までを複雑に撮影、編集した構造的作品。街路についての形式の映画。
ラピス<ジェイムズ・ホイットニー、66>
ホイットニー兄弟の弟による最初期のコンピュータ・アニメーション。彼らの装置は『2001年宇宙の旅』の1シーンで用いられた。
フリッカー<トニー・コンラッド、66>
画面に現れるのは白と黒のコマだけ。そのタイミングとリズムだけでできた構造映画の金字塔。「医者の立ち会いが必要」という注意書きがついていた!
波長 <マイケル・スノウ、67>
音楽、写真、彫刻、映画など多ジャンルで活躍するマイケル・スノウの代表作は構造映画の代表作でもある。45分間、サイン派の音とカメラの移動が持続す
る。
庭園<ヤン・シュヴァンクマイエル、67>
オブジェを用いたアート・アニメーションで一世を風靡したシュヴァンクマイエルの作品では異色の、人間をオブジェ化した作品。その不条理さ故かチェコで
は20年上映禁止であった。
ノスタルジア<ホリス・フランプトン、71>
映像と音(ナレーション)のつながりを解体してずらすことでイマジネーションを生み出す。構造と叙情の物語。ナレーションはマイケル・スノウ。
ソウガス・シリーズ<パット・オニール、74>
光学合成技術の巨匠、パット・オニールの初期の傑作。意図的にズレを残した合成により、不思議な立体感を生み出す。
悲しいワルツ<ブルース・コナー、77>
現代美術家ブルース・コナーによる数少ない映画作品は、ファウンド・フッテージ(既存の映画のリミックス)によるコラージュ映画である。
アスパラガス<スーザン・ピット、79>
エロティックでサイケデリックな夢幻的アニメーション作品。リンチとならびカルト的な人気を博した。音楽はリチャード・テイテルバウム
霧<マティアス・ミュラー、00>
オーストリアの詩人エルンスト・ヤンドゥルのテクストと、既存のホーム・ムーヴィーの映像と、作者自身の映像を組み合わせた構成。失われた子供時代へのオマージュ。
●上映作品(日本)
キネカリグラフ<グラフィック集団、55>
戦後の日本実験映画の嚆矢とされる作品。大辻清司ら「グラフィック集団」により試みられた視覚実験。(1970年にオリジナルが散逸)
へそと原爆 <細江英公、60>
写真家細江英公、舞踏家土方巽、詩人山本太郎、作曲家前田憲男の出会った伝説的作品。詩とジャズと実験映画のスパーク。
Complex <大林宣彦、64>
実写コマ撮りや光学合成をふんだんに取り入れたパワフルな快作。ある映画ディレッタントが映画への夢とあこがれを唄う。
シベール<ドナルド・リチー、68>
作者は世界的に著名な日本映画研究家であり、揺籃期の日本実験映画の中心的作家。この作品ではハプニング集団「ゼロ次元」が怪演。
薔薇の葬列<松本俊夫、69>
実験映画作家松本俊夫の長編劇映画第一作。オイディプス神話が60年代の新宿で展開される大胆なドラマ作品。主演は当時16歳のピーター。
トマトケチャップ皇帝 <寺山修司、70>
寺山修司初期のラジオ・ドラマ『大人狩り』をベース。管理社会に服従していた子供たちが一斉蜂起する空想のユートピア論。
南岸沿 <中島崇、71>
8ミリの荒い粒子ごしに、数種類の映像を跨ぐことで、叙情とも抽象ともつかない神秘的イメージを創出する中島崇初期の傑作。
ストーン <相原信洋、75>
流麗な線画とサイケデリックな色彩が特徴の相原信洋が北欧の地でライブペインティグを行い、固定カメラで壮大なアニメーションとして完成させた異色作。
驚き盤<古川タク、75>
映画前史の光学玩具「フェナキストスコープ」の日本名「驚き盤」の命名者古川タク自らが、自作の驚き盤を素材にアニメーションを制作。
映画-LE CINEMA<奥山順市、75>
「一秒24コマ」で投影される映画フィルムのメカニズムを遊び尽くす、チャーミングな構造映画の誕生。
優しい金曜日 <田名網敬一、75>
著名なグラフィック・デザイナーの田名網敬一は70年代から実験映画を多数制作。本作品ではサイケデリックなアニメーションが展開。
オランダ人の写真<居田伊佐雄、76>
写真のフレームの中と外、動く写真である映画のイリュージョンを7分の無声映画で表現したコンセプチャルな快作。
映像書簡2<かわなかのぶひろ+萩原朔美、80>
2人の映像作家による映像の往復書簡は世界的にも画期的な試みだった。その第二作目は建築物の映像からイメージが飛躍する。
15日間<鈴木志郎康、80>
日記映画の最も先鋭的なアプローチ。強制的に15日間自分自身を撮影し、自己と対話し思索する極私的空間。
SPACY <伊藤高志、81>
約700枚の写真を連続投影して動きと空間のイリュージョンを作り上げ、世界中に衝撃を与えた「SPACY」は伊藤高志の実質的処女作であった。
MODEL <手塚眞、87>
ビジュアリスト手塚眞の実験映画。スチル写真をコピー機にかけて形や質感を様々に変形。映画や写真が複製メディアであるということを喚起させる。
フランス映画<帯谷有理、94>
作曲やコンセプチャル・アートの活動と共にユニークな実験映画を生み出す帯谷有理の短編作品。映像で提示する「背理法」の試み。
桃色ベビーオイル<和田淳子、95>
90年代に注目された女性作家のなかでも突出した作品を次々に発表した和田淳子の代表作。エロティックで挑発的な映像とサウンド。
roundscape mix<中西義久、97>
デジタル・アニメーションの隆盛を予感させるような緻密な編集とエフェクトによって、日常的な近所の風景が異化する。
部屋/形態<石田尚志、99>
画家として、一枚でも多くの絵を描き連ねるため実験映画を制作する石田尚志の抽象アニメーション。バッハと絵画との遭遇。
FADE into WHITE #2<五島一浩、00>
less is
moreの精神で3DCG表現に独自のアプローチを試みる五島一浩のシリーズ作品2作目。CG作品には非常に珍しい「予兆」や「気配」の映画。
スーパードキュメンタリー 前衛仙術<金井勝、03>
60年代に若者を熱狂させた「無人列島」の監督金井勝は、現代の若者のパソコン操作に対抗するために”前衛仙術”というコンセプトを打ち出す。日常の奇
跡が映画的物語に変貌する。
映画の発見<伊藤隆介、06>
「映画史」を遡航するようなユニークなインスタレーション(映画の発見シリーズ)を発表する伊藤隆介の挑戦。子供が、偶然、映画を発明してしまった!
※内容に変更が生じることがありますので、ご了承ください
■講師
中島崇(映像作家)/77年イメージフォーラム設立メンバーの一人。87-00年、イメージフォーラム・フェスティバルのプログラム・ディレクター。海外の実験映画の動向に精通する日本の第一人者である。主な作品に『南岸沿』(71)、『セスナ』(74)、『FIVE DAYS』(02-03)『埋もれた話』(03)、『公園に来る人々』(04)、『レベル2』(07)。
澤隆志(イメージフォーラム・ディレクター)/00年よりイメージフォーラム・シネマテーク、 イメージフォーラム・フェスティバルのプログラム・ディレクター。映像作品に『特派員』、アートブック「temperature」(共作)など。
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