[※対面のみの講座です。オンラインでの受講はできません]
デジタル機器の発展により、いまや私たちの日常に溶け込みきっている多種多様な映像メディア。その表現の歴史を辿ってみると、産業としての映画とは異なるアートとしての映画(実験映画)という大きなムーブメント、そして数々の冒険者・先駆者たちに出会う。映像メディアの特質に根差したユニークで先鋭的なアート表現の歴史を、映画前史から戦前・戦後のアヴァンギャルド映画、そして日本やアジアで独自の展開を遂げた個人映画から現在の新しい映像アートまで、国内外の代表作40作品以上の貴重な上映とともに、各テーマに沿って専門家が解説する。
■講座日程 8月26日(月)〜8月31日(土)〈6日間〉
■講座時間 連日19:00〜22:00
■受講費 15,000円(税込)※教材費含む
■定員 30名
■参加申込 https://peatix.com/event/4085939(外部Peatixサイト)
■講座内容
▶1日目 [担当講師:澤隆志]
● コラージュ/モンタージュ
消える!化ける!の奇術から夢の記述へ。切り貼りしたのは時間か写真か。断片が現す力。
《上映予定作品》
列車の到着(リュミエール兄弟/1895)、月世界旅行(ジョルジュ・メリエス/1902)、アンダルシアの犬(ルイス・ブニュエル+サルバドール・ダリ/1928)、5時10分発ドリームランド行き(ブルース・コナー/1977)、映画の発見(伊藤隆介/2006) ほか
▶2日目 [担当講師:澤隆志]
● 物語を曲げる声の実験
画と切り離された声、主従が逆転した声(主)、無償を体現する声、彼岸此岸同時発声、暴力に奪われた声。
《上映予定作品》
日日日常(能瀬大助/1999)、グージョネットと風車小屋の魔女(福井琢也/2006)、赤いアニンシー; あるいはいまだに揺れるベルリンの壁をつま先で歩く(ラチャプーン・ブンバンチャーチョーク/2020) ほか
▶3日目 [担当講師:澤隆志]
● 他ジャンル/多ジャンルの邂逅
新しく手軽で当時のマルチメディアであった”映画”に他ジャンルのクリエイティブが出会う。
《上映予定作品》
キネカリグラフ(実験工房 大辻清司・石元恭博・辻彩子/1955)、へそと原爆(細江英公/舞踏:土方巽/1960)、人間動物園(久里洋二/音楽:武満徹/声:水島弘、岸田今日子/1962)、二頭女─影の映画(寺山修司/撮影:鈴木達夫/音楽:J・A・シーザー/1977) ほか
● アニメーションでない映画はない?
映画前史、分解写真としての映画、トレースとシンクロ、CG光学的リアリティから生成へ。
《上映予定作品》
蒸気船ウィリー(ウォルト・ディズニー/1928)、トレード・タトゥー(レン・ライ/1937)、映画-LE CINEMA(奥山順市/1975)、アスパラガス(スーザン・ピット/1979)、SPACY(伊藤高志/1981)、Fade into White #2(五島一浩/2000)、ラブ・アンド・セフト(アンドレア・ヒュカーデ/2010)、アスキーアート写経(EXONEMO/2016) ほか
▶4日目 [担当講師:中根若恵]
● 政治的ラディカリズムと日常性 [担当講師:中根若恵]
非日常的場としての政治運動・革命と日常的営為の間に映画の前衛性はいかに存在してきたのか?
《上映予定作品》
何時か死ぬのね(佐々木美智子/1974) ほか
● サイコドラマ・反復・儀式
「正常性」の宙吊りによって浮かび上がる内的生活の葛藤と矛盾。そこで反復される儀式の向こうにあるものとは?
《上映予定作品》
午後の網目(マヤ・デレン/1943)、緑虫(寺嶋真里/1991)、公衆便女(束芋/2007) ほか
▶5日目 [担当講師:中根若恵]
● 構造映画——時間と空間の実験 [担当講師:中根若恵]
空間と時間にまつわる映画のメディウム特性、映画の自己言及的な実験へ。
《上映予定作品》
波長(マイケル・スノウ/1967)、観測概念(山崎博/1975)、カメラオブスクラ3(IKIF/1984) ほか
● 欲望のエクスペリメンタリズム [担当講師:中根若恵]
身体のメディア性、セクシュアリティの経験を実験映画はいかにテーマ化してきたか?
《上映予定作品》
エマク・バキア(マン・レイ/1926)、色目(大木裕之/1992) ほか
▶6日目 [担当講師:中根若恵]
● エッセイの一人称的実験 1:モノローグ [担当講師:中根若恵]
「試み」としてのエッセイ、モノローグ、日記映画とトラベローグ。
《上映予定作品》
ロスト・ロスト・ロスト(ジョナス・メカス/1976/抜粋) ほか
● エッセイの一人称的実験 1:ダイアローグ [担当講師:中根若恵]
「試み」としてのエッセイ、ダイアローグ、インタラクションから主体の複数性へ。
《上映予定作品》
映像書簡10(かわなかのぶひろ+萩原朔美/2005) ほか
■講師
澤隆志(キュレーター)
2000年から2010年までイメージフォーラム・フェスティバルのディレクターを務める。現在はフリーランス。パリ日本文化会館、あいちトリエンナーレ2013、東京都庭園美術館、青森県立美術館、長野県立美術館などと協働キュレーション多数。「めぐりあいJAXA」(2017-)、「都市防災ブートキャンプ」(2017-)、「写真+映画=列車」(2018)、「浮夜浮輪」(2018) 「継ぎの時代」(2022-)など企画、運営。
中根若恵(映画研究者)
南カリフォルニア大学映画芸術学科博士課程在籍。専門は日本の実験映画、ドキュメンタリー映画、ジェンダー論。学術論文に、「作者としての出演女性——ドキュメンタリー映画『極私的エロス・恋歌1974』とウーマン・リブ」(『JunCture』2016年)、「身体による親密圏の構築——女性のセルフドキュメンタリーとしての河瀨直美映画」(『映像学』2017年)など。
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