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講師紹介

 
村上賢司
映画監督
profile
個人制作から商業作品まで多彩な映像表現を手がけるが、「ドキュメンタリーは手法である!」というスローガンのもと虚実入り交じって生み出されるセルフドキュメンタリー作品がやはり必見。近年では8mmフィルムやカセットテープなど消えゆくメディアに目を向けたパフォーマンス的作品も手がける。『夏に生れる』(99)はイメージフォーラム・フェスティバル審査員特別賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリ、『オトヲカル』(13)は山形国際ドキュメンタリー映画祭スカパー!IDEHA賞を受賞。その他の作品に『川口で生きろよ!』(03)、『森達也の「ドキュメンタリーは嘘をつく」』(06)、『ゾンビデオ』(12)など。
message
さあ!
この文章をもしWebを通して読んでいるならば、あなたが今使っているガジェットにはレンズが付いていて動画が撮影できるはず。ならば今からカメラ機能を立ち上げて録画ボタンを押して1分くらい撮影してみてください。記録できたのは何でした? 自室の壁? 車窓の風景? あなたの顔? とにかく「何か」が撮影できたはず。次にその映像を注意深く何度も見てほしい。そこには必ずあなたの心に引っ掛かる要素が1つか2つはあるはず。実は音も重要。イヤフォンを付けて、目を閉じて音だけに集中して再生してみると普段は気にしなかった、しかし今、あなたの心に引っ掛かる要素がここにもあるはず。そしてしばらく考えて欲しい。「なんでこれらの映像や音が心に引っ掛かったのか?」を。簡単に答えは出ないかもしれないが、そこでわかったことがあれば再度カメラ機能を立ち上げて同じような要素を探すなり、再現するなりして何度も撮影してください。それでそのような映像が集まったら、撮影順でもいいから全部並べてみて最初から終わりまで鑑賞してほしい。もうそれは、あなただけにしかつくれない作品になっているはずです。もしそこで「何か違う」と思ったらしめたもの。その理由を探究しながらトライ&エラーを続けてほしい。その過程でいくつもの作品が生まれ、あなたはいつの間にか映像の作り手になっているはずです。以上のようなことを私はこの研究所で伝えようと思っています。端的に言えば作品をつくるための「方法」。中学生の時にビデオカメラを手にしてからこれまで個人制作だけでなく仕事でも多種多様な作品をつくってきました。その中で失敗もありました。いや、失敗の方が多かった。でも、だからこそあなたに伝えられることが沢山あると思っています。とにかく撮影を始めましょう。さあ、録画ボタンを押してください!(この文章を紙に印刷されたもので読んでいる方も近くにあるスマホを持って、さあ!)。

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