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講師紹介

 
小瀬村真美
美術家
profile
西洋絵画の古典的なモチーフや日本画の伝統的な題材、構図などを巧みに利用し、アニメーションを使った映像インスタレーションや写真を制作。絵画、映像、写真……、メディアを横断して「見ることとは何か?」を問い続けている。「Projected Realities : video art from east asia」(Asia Society and Museum N.Y、2006)、「日本×画展 -しょく発する6人-」(横浜美術館、2006) 、「Mind as Passion」(台北市立美術館 2009) 等、国内外の美術展へ参加や映画祭に参加多数。2018年には原美術館で初の美術館個展「小瀬村真美:幻画〜像(イメージ)の表皮」を開催。
message
発見と格闘の日々へ
イメージフォーラムに私が通ったのは、美大の大学院生の時でした。絵画科に所属していた私の日常は、絵画を中心としてのアート作品をどう制作するか?を考える日々でしたが、そこにイメージフォーラムは映像という別の視点と私のその日常自体を外側から見る客観性をもたらしてくれました。独自の絵画や視覚芸術をどう作っていくか、について悩んでいた私は「イメージ(ビジュアル)をどう作るか」だけを考えていました。しかし、制作をすることとはそんな簡単なものではありませんでした。イメージフォーラムを通して実験映画を知り、カメラと格闘し、先生方や友人の考え方の違いをシャワーのように浴びた日々は、私に表現する以前の「ものをどうみるか」について考えることの重要性に気づかせてくれました。この時期に知ったアメリカの映画監督スタン・ブラッケ-ジ(Stan Brakhage 1933-2003)の言葉で今も思い出すものがあります。作品制作はgive&takeではなくtake & giveだと。カメラという眼を持って日常をtakeする事、そして自分が得た物を映画という表現へとgiveする事。多くの有益な情報をtake(観察と発見)出来るようになって、はじめてアイデアは生まれ、自分のイメージどおりに作品へとgiveする事が出来るようになる。これは映像だけではなく、全ての作品制作に言える言葉と思います。 イメージフォーラムは専門学校でも大学でもない純粋な制作者の集まり、という今の日本ではかなり貴重な存在の学校だと思います。単位をとるためでなく、単に映像を知り制作したいと思う人だけが集まる稀有な場所です。そして、そのばらばらな背景を持つ人々が人生の中でたった1年、映像と制作と格闘しながら深い交流を交わします。そんな時期に時間を共にする一員として、制作を通してみなさんの新鮮なものの見方に触れることができることを楽しみにしています。

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