LECTURER

講師紹介

 
萩原朔美
映像作家、演出家、 多摩美術大学名誉教授、前橋文学館館長
profile
かつて寺山修司が主催した劇団「天井桟敷」の演出部に籍を置きその手腕を発揮するかたわら、20年代前半ですでに著書「赤い自転車」を発表、早くから創作のジャンルに頭角を現わした。70年代以降は、ビデオ、映画をはじめ版画、写真、さらには月刊「ビックリハウス」の編集長をつとめるなど、分野を越えた様々なメディア探求は、高く評価されている。事物の推移をリアルタイムで写し撮る手法は、ビデオの最も根源的な特性を生かしたもの。実験映画の名作として世界的評価の高い『KIRI』 (72)のワンショット・ムービーは、今日のビデオ時代を予見。『映像書簡』シリーズの近作に見られるように、近年は実験的な「物語」表現に取り組む。近作に『キライズム』(08)『眼の中の水』(12)『春丸・秋丸』(12)『左からやってくるもの』(16)など。
message
【何故作るのか】 如何に作るのか。これがほとんどの映像教育のテーマだろう。 しかし、本当は如何に作るかなど、どこかで学ぶよりも、勝手に個人が取得すればいいことではないだろうか。作りたかったら技術は自分で盗み取る。誰かに教えてもらう前に自分から動いて自分のものにしてしまう。 一番重要なことは、如何に作るかではない。 何故作るのか、だ。 その答えを考えるのが教場での仕事ではないだろうか。 イメージフォーラム映像研究所のテーマもそこにあるような気がする。 デジタルの登場は、手仕事の継承するテクニックの世界を消滅させた。映像表現の世界は、いまや誰でも作家になれる状態になった。作家を生み出す確率の最も高いのはパソコンの仕様説明書だ。 そしてもうひとつ、映像だけにしか表現できないこと。小説でも詩でもなく、写真でも絵画でもない。映像だけにしかありえないものはなんなのだろうか。その答えを探すことも、イメージフォーラム映像研究所の仕事である。 映像だけが持っている豊な深い広がりのある世界。作品を作り、発表し、批評を受けることで、そのことを発見するのだ。教える立場と教えられる立場が時々刻々と目まぐるしく入れ替わる。私はそのスリリングな交換が授業と呼ばれるものだと思っている。

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