■監督:ブラザーズ・クエイ
■脚本:ブラザーズ・クエイ+アラン・パス■原作:ローベルト・ヴァルザー「ヤーコプ・フォン・グンテン」(集英社版 世界文学全集74巻 カフカ/ヴァルザー)■撮影:ニック・ノウランド■音楽:レシュ・ヤンコウスキ■編集+ミキシング:ラリー・サイダー■製作:フィルム4・インターナショナル(イギリス)+ブリティシュ・スクリーン(イギリス)■制作:コーニンク■プロデューサー:キース・グリフィス+ジャーニン・マーモット■出演:リーザ・ベンヤメンタ(眠れる美女/教師):ALICE KRIGE アリス・クーリジ、ヤーコプ・フォン・グンテン(小公子/生徒):MARK RYLANCE マーク・ライランス、ヨハネス・ベンヤメンタ(学院長):GOTTFRIED JOHN ゴットフリート・ジョン、クラウス(模範的生徒):DANIEL SMITH ダニエル・スミス
■1995年ロカルノ国際映画祭若手批評家賞/ティルライド映画祭招待作品/ロンドン映画祭招待作品/トロント映画祭招待作品/ハンブルグ映画祭招待作品
■イギリス映画/1995年作品/モノクロ/35ミリ作品/ビスタサイズ1:1.66/1時間45分/全7巻9,447フィート/日本語字幕:安沢秀太/日本語字幕監修:服部滋
●この映画は世界のアート映画ファンの間で絶大な人気を誇る『ストリート・オブ・クロコダイル』のクエイ兄弟が監督した初の長編で、ファンタスティックな神秘的な要素とおとぎ話が組み合わされたライブ・アクション映画です。
●観客はベンヤメンタ学院の迷宮的な回廊と、そこに立ち現われる住人の複雑な困惑させられるような行為に魅せられ、導かれていきます。荒れ果て今にも消滅しそうなこの学院は執事を養成するための寄宿学校であり、一つのレッスンを際限なく繰り返す独自のカリキュラムが組まれています。時代はあいまいで、学院は大都市のどこかの高い建物に囲まれた中庭の裏側にひっそりとあります。入学した主人公のヤーコプは学院と友人の生徒(模範生徒で気難しいクラウス)、学院長のベンヤメンタ氏とその妹の隠された秘密を暴きだそうと企てます。ヤーコプが学院に隠された深淵の世界へ入り込んで行くにつれ、私たちはベンヤメンタ兄妹の奥深い部屋の秘密と、学院のゆるやかな崩壊と消滅を目撃することになるのです。
●この物語はスイスの異端の作家ローベルト・ヴァルザー(1878-1956)の小説「ヤーコプ・フォン・グンテン」と彼の「白雪姫」と「シンデレラ」のリメイクにインスパイアされています。1956年、精神病院で20年余りを過ごした後に没した彼の才能に対して、現在再評価の気運が世界的に高まり、研究書の出版、ヴァルザー原作の映画祭などが欧米では企画されています。ちなみに5歳年下の幻想文学の巨匠カフカが最も尊敬し愛した作家としても知られています。
●『ベンヤメンタ学院』の出演者は今ヨーロッパ・アート映画でもっとも注目を集める美人女優アリス・クーリジ。ブロードウェイ、ロンドンの演劇シーンに彗星のように登場し、いまやシェークスピア劇の第一人者となったマーク・ライランス。ファスビンダーの映画には欠かせないベテラン、ゴットフリード・ジョンなどが個性を発揮している。
●音楽はこれまで『ストリート・オブ・クロコダイル』をはじめブラザーズ・クエイのほとんどの音楽を担当し絶妙のコンビネーションをみせてきたポーランドのレシュ・ヤンコウスキと、音響も常連のライー・サイダーが担当。
●撮影はロンドンで1994年3月初旬から5月上旬まで6週間かけ、その後特殊撮影、音楽、編集に1年半年余りかけ、95年秋にようやく完成。日本では96年6月に公開されました。
●「私が過去300年間に見た映画の中でもっともヴィジュアル的に美しく、忘れがたいユーモアに満ちた作品。私は嫉妬を覚えた。」─テリー・ギリアム監督
●「今年度発表されたヨーロッパ映画の中で最も知的な映画」─ロッテルダム映画祭ディレクター:マルコ・ミューラー
●「映像と音の豊醇なタピストリーは、総毛立つ程の衝撃を覚えた。『イレイザーヘッド』以来の、最も風変わりで美しく、人を誘いこまずにはいられない処女作だ。」─ジェイソン・ヴィンツ「ビレッジボイス」誌/アメリカ
●「実写とミニチュア撮影を融合することで、クエイ兄弟は幻想主義に新しい地平を切り開いた。観客は『ベンヤメンタ学院』の創出するイメージの迷宮に圧倒される」─ジョナサン・ロムニー「サイト・アンド・サウンド」誌/イギリス
●「ボルヘスの幻想図書館から抜け出たような怪奇と幻想の世界」 ─「ニューヨーカー」紙/アメリカ
●「精緻な技術に裏打ちされた欲望と破滅の暗黒の物語はまさに脳髄の奥深くを刺激する」─「タイム・アウト」紙/アメリカ
【BROTHERS QUAY ブラザーズ・クエイ】
ブラザーズ・クエイは1947年、アメリカのフィラデルフィア近郊に生まれ。スティーブとティムの双子の兄弟。フィラデルフィア芸術大学で学び、69年から72年にかけてロンドンの王立美術学校に学ぶ。グラフィック・デザイナーとしてブック・デザインを手掛ける。80年にプロデューサーのキース・グリフィスとともにアトリエ・コーニンクを設立。この時から彼らは様々な種類の人形アニメーション(アート・フィルム、文化的ドキユメンタリー、テレビ番組とテレビ・コマーシャルのためのグラフィックな小篇)を作り始める。
その作品にはカフカ、ブルーノ・シュルツ、ローベルト・ヴァルザー等の文学作品にインスパイアされた映画作品とともに、「パンチ・アンド・ジュディ」、ストラヴィンスキー、ヤナーチェク、ヤン・シャンクマイエル、アナモルフォーシス等に関するドキュメンタリー作品もある1986年に製作し、日本でも87年に公開された『ストリート・オブ・クロコダイル』は幻想怪奇ロマンの傑作として映画のみならずアート・シーンにも多大な衝撃を与え、未だにカルト・ムービーの最高峰として聳え立っている。
彼らの仕事には以下の芝居、およびオペラ演出家リチャード・ジョナスの作品に対するの舞台美術も含まれる。プロコフィエフの「三つのオレンジへの恋」(オペラ・ノーツ/英国ロイヤルオペラ)、チャイコフスキーの「マゼッパ」(ブレゼンツ・フェスティバル/ネザーランド・オペラ)、モリエールの「田舎貴族」(NT/ナショナル・シアター)。そして、キム・ブランドストラップのバレー「ディビュック」(ザ・プレイス)の舞台美術。また演出家リチャード・ジョナスと組んで95年には英国ロイヤル・オペラ、96年にはコベント・ガーデン/ロイヤル・オペラハウスの舞台美術を担当。
また、スティーブ・ジョンソンと組んでピーター・ゲイブリエルの「スレッジハンマー」やヒズ・ネイム・イズ・アライブ、マイケル・ペンなどのMTVも手掛け、それらはポップビデオ・トップ100にも選出されている。
また、CMではハネウェル(86年)、ウォーカー・チップス(87年)、デュラックス(87年)なども手掛けている。
【フィルモグラフィ】
『Nocturna Artificialia』(79)、『パンチ・アンド・ジュディ』(80)、『Ein Brudermord』(81)、『The Eternal Day of Miche1 De Ghelderode 1898-1962』(81)、『Igor-The Paris Years Chez Pleyel』(83)、『レオシュ・ヤナーチェク』(83)、『ヤン・シュバンクマイヤーの部屋』(84)、『ギルガメッシュ/小さなほうき』(85)、『ストリート・オブ・クロコダイル』(86)、『スティル・ナハト』(89〜93)、『失われた解剖模型のリハーサル』(88)、『櫛』(91)、『アナモルフォーシス』(91)、『ベンヤメンタ学院』(95)
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