ブラザーズ・クエイ監督『ベンヤメンタ学院』 No.1 of 4


JIL FURMANOVSKY (C) 1994


JIL FURMANOVSKY (C) 1994

[金魚鉢−円環]
リーザの部屋の窓は円窓だ。そして彼女がクラウスについて、彼が”完璧なゼロ”だと語る時、身を潜めるのも円窓なのだ。私たちはゼロあるいは円環が映像のどこかに表れるように細心の注意を払った。このシーンで、リーザの召使頭であるクラウスは上の階でバケツの水を用意している。前世紀末から今世紀初頭にかけて、こうした館では上の階で水を撒き、その水を階下の壁に伝わらせて涼をとる方法がよく用いられた。毎日この時刻にリーザの火照りを冷ますのがクラウスの日課なのだ。リーザは毎日、彼方に感じる人影、つまり彼女の王子様を引き寄せようと念じている。このシーンでリーザは、恍惚として学院の中をさまようヤーコプを引き寄せようとし、それに成功する。

 クラウスは光がちょうど建物の間から差し込む決定的な瞬間を待っている。そして一条の光線が出現すると――儀式を始める合図だとクラウスには分かっている――彼は立ち上がり水を撒き始めるのだ。このシーンは光がベンヤメンタ学院(闇)を侵略する様を記録するドキュメンタリーでもあるのだ。


JIL FURMANOVSKY (C) 1994


JIL FURMANOVSKY (C) 1994

 映画の最初の方で尖ったフォークが出てくるが、クラウスが自室に置いているこのフォークは検知器の働きをしている。オリジナルの脚本ではフォークの代わりに「向日葵時計」がその役目を果たしていた。それはクラウスがベンヤメンタ学院の中で見つけた品々を寄せ集めて自作した魔法の箱で、光の増減を感知する形而上的機械だった。

●コメントはブラザーズ・クエイ自身による。


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