リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督インタビュー
作品に通底するテーマ“群衆”について
『ジャッリカットゥ 牛の怒り』の脚本は、時間が進行するにつれ群衆が増大していくというものでした。私はこの映画に二つのキャラクターを見出したのです。第一に野獣。そして第二に群衆。その群衆はやがて映画の終わりには巨大な獣へと成長します。私は群衆を作品で美しく撮った監督たちをリスペクトし、そこから学びました。その点で言うなら、黒澤明の『乱』(1985)とコスタ=ガヴラスの『Z』(1969)は私のお気に入りの2本です。
空間と場所について
映画監督として私は、作品のロケーションを一番重要なキャラクターと考えています。映画のロケ場所を決定する前に、場所の見え方をじっくりと探求するのが大好きです。その場所が、私の中で育って息づくようになると、映画の他の登場人物たちと同じように、土地が自分を表現し始め、最終的には物語の最も重要な部分を構成するようになります。森の深い緑、霧、冷気、大地の隆起や谷間、そうしたもの全てがこの作品には重要でした。
原作のS・ハリーシュのマラヤーラム語短編『マオイスト』は、丘の上の寂れた街を舞台にしています。この作品の舞台としてイドゥッキ地区の丘の街カッタパナ以上にいい場所はないと思っています。
牛の造形について
牛のキャラクターを造形するため、私たちは70年代に回帰することにしました。オールドスクールな技術を選び、VFXを最低限のものにしようとしたのです。例えば『ジョーズ』を観れば、アニマトロニクスで作られたサメは、本物のように見えます。何年か経った今見ても、どのVFXで表現された生き物より怖く感じます。故郷で初めて『ジュラシック・パーク』を、映画館の後ろの方で観た時に感じた寒気の感覚を今でも憶えています。私たちはスピルバーグから学んだのです。この作品の準備中、スタッフと一緒に『ジョーズ』と『ジュラシック・パーク』のシーンを何度も繰り返して観ました。
※監督インタビューは劇場で販売するパンフレットに全文掲載します