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語り派 ストーリーテリングの実験
2006/10/21, 22, 10/28, 29

理路整然としたプロットや実話を元にした悲喜劇とは別に、個人的な「語り」そのものに共感することがある。独白、告白、宣言、読み聞かせ... 声と映像が出会う9つのストーリー。

  • RO

    RO
  • 象の話

    象の話
  • 2つの旅とコーヒー

    2つの旅とコーヒー
  • 幸せな記憶

    幸せな記憶
  • Relations

    Relations
  • べっぷ・たまがわ

    べっぷ・たまがわ

    受付

  • 当日900円/会員600円 2回券1,500円

    上映作品

    Aプログラム

  • RO コジマキエ/ビデオ/14分/2004
  • 山椒魚 伊東宣明/ビデオ/17分/2004
  • 象の話 伊東宣明/ビデオ/5分/2004 
  • 人工馬鹿、人工人妻関本聖一/8ミリ(ビデオ版)/13分/1998
  • 2つの旅とコーヒー 水本博之/ビデオ/17分/2004
  • 幸せな記憶 後藤天/ビデオ/20分/2006

    Bプログラム

  • おしゃれ29/29 内村茂太/8ミリ/26分/2003
     10/28 5:00の回は
     作家による特別ライブ・ナレーション版
  • Relations 成瀬拓也/8ミリ/10分/2006
  • べっぷ・たまがわ 内村茂太/8ミリ/31分/2005

    タイムテーブル

日付 2:00 4:00 5:00
10/21 - - A
10/22 B A -
10/28 - - B
10/29 A B -

声を読む

このプログラムは、若手作家の短編のうち、ナレーション、モノローグが映画を牽引していく作品を特集した。デジタル・アニメーション隆盛の反動か、テクストによる対話の定着からか、近年の短編映像作品に字幕やナレーションなどの「声」が主役の作品が目立ってきた。もちろん、ドキュメンタリーのスタイルを持った作品では当然本人のナレーションが主体になるし、そもそも原作のテクストが存在する「朗読劇」型式の作品は以前から多数ある。ここで紹介する作品は映像と語りを等分して小さな物語を生み出そうとする作品群である。 『おしゃれ29/29』、『人工馬鹿、人工人妻』『べっぷ・たまがわ』は作家の独白型式であり、単なる自虐でも露悪趣味でもなく、自分を含めた世間一般をすっかり笑いものにしてしまう。次に何を語るか予想できないスリルと、ローテンションな独特の話芸が頭に残るのだ。この油断ならない脱力が中毒性を持つ。 『RO』『山椒魚』『象の話』は、小池昌代や川上弘美の短編小説のような幻想的なプロットを読みきかせるスタイルで、何の加工もしていない実写の風景が、ストーリーが進むにつれて別のものに見えてくる不思議さが魅力だ。 『Relations』は動物の映像を目にしながら人間の生態を暴く筋立て。リアルな実録音声をコンビニの商品や檻の中の動物の様に陳列している。『幸せな記憶』は主人公の家族写真を題材にしたフォトロマンである。主人公の彼女、母、父の3様のナレーションで構成される。幸せな記憶の断片が、幸せであって欲しい願望に形相を変える瞬間は、ホラー映画の様なショックを覚える。 アニメーション、実写合成、爆音のサウンドトラックがふんだんに盛り込まれた『2つの旅とコーヒー』では、ナレーションは一気に攻撃的に振る舞う。意味を追えないほどの過剰なナレーションが作中の怪獣のごとく襲いかかり、言葉と意味から逃れる2つの旅の主人公と同化していくことになる。(澤隆志)





作品コメント

RO
街には工場がありました。 夜も更けたころ、工場の中では「炉」が赤々と燃え、 轟音をあげて、窓から閃光を放ちます。 その光と音に誘われてか、夜な夜な工場へ散歩に来る者がいます。 −いったい工場では何が作られているのか。 やがて自分自身と工場との関わりを知ることになります。

山椒魚
井伏鱒二「山椒魚」、クリス・マルケル「ラ・ジュテ」、押井守「攻殻機動隊」他様々な物語からそのイメージの残骸を引用(あるいは流用)のみを用いて 構成、「何処にも行けない」物語を紡ぐ。

象の話
「おとぎ話」と「窃視」のシーンの対比により、現実を強く意識する事を目的している。
この2つは対をなす作品である。何処にへも行けない事を目的とし現実からの横滑りを図った『山椒魚』に対し、徹底的な現実を露呈する『象の話』はその現実への回収を目的とした。

人工馬鹿、人工人妻
馬鹿で知られる関本少年にまつわる民の声。石川県小松市に生まれ、父親から逃げようとして突如上京した関本少年の秀逸な騙り。誰にも真似のできないパフォーマンスに関本少年の独白が流れる。

2つの旅とコーヒー
まず目指したことは”商品”を作らないこと。作品を整えるのではなく、自分のエネルギーを表現することを大事にした。テーマは個人と集団。個人と集団(コミュニティー)の間で旅をする二人の男。その二つの旅が行き着く先はただ、向かい合うことのみである。

幸せな記憶
過去の記憶は思い出される時、またそれを他者に語る時に、語り手のその時の気分や立場によって変えられて思い出され、語られています。誰もが知っていて、しかし気にもとめていないこの事をテーマに制作しました。そして繰り返しの構造によって観客の方々にも“思い出す“という事を体感いただけたら幸いです。過去の出来事を作品化し、自己の外に相対化する事が、強く生きていくエネルギーとなる事を信じてやみません。

おしゃれ29/29
30歳を迎えるにあたっての映画。くつの中にダンゴ虫を入れられない為の映画。理由のわからないことで、悩んでいるうちに老いぼれてしまうんだぜ。老いぼれるってことは、ただ歳をとってしまうって意味じゃなんだぜ。 キープオンロック! Hold on Me! 熱海≠ハワイ!

Relations
コンビニでバイトをしている友達が何人もいる。バイトスタッフ同士、ムカついたり、好きだったりといろんな人間関係があるのだという。そんな話をよく聞かされていて、ふと動物園の動物にもそんな人間関係ならぬ、動物関係なんかがあるのではないかと思いこの作品をつくりました。

べっぷ・たまがわ
先日、迷い犬を保護して、老夫婦からお礼の電話をいただきました。2度お礼の電話をいただきました。最近は、笑ってごまかしてばかりいるので、女事務員に「笑い事じゃないのよ」とよく怒鳴られます。そんな人間が作ったものです。名古屋〜別府〜日奈久〜多摩川ぶらり人生途中下車の旅。 なにもかも糞くらえだぜ。あと、俺達は藤波のかませ犬なんかじゃないんだぜ。