イントロダクション
かつて若者が映画を作ろうと志す時、「フィルム」を使うことは避けては通れない道だったし、そのためにはちょっとした知識や技術を習得する必要があった。それは決して難しいことではなかったけれど、全てが「デジタル」となり指先ひとつでだれもが鮮明な映像を撮れる現代に比べれば、それなりに煩わしくやっかいなことであり、だから(他のたくさんの理由ももちろんあって)フィルムでの新作はほぼ絶滅しかけていたし、フィルムに拘る旧来の作家がいなくなれば、本当に絶滅するかもしれないとさえ思われていた。
だが本プログラムをキュレーションしたのは、フィルムがほぼ絶滅しかけ、「デジタルしか映像を撮る選択肢がない」時期に制作を始めた2人の映像作家(石川は1984年生、早見は1991年生)である。フィルム時代の煩わしくやっかいであった手間を愛おしみ、傷や滲み、ボケや荒い粒子に新鮮な美しさを見出した彼らにとって、フィルムこそが、平凡でありふれたデジタルを超えるべきニューメディアとなった。実際彼らだけでなく、フィルムの可能性を改めて追求する動きは、ハリウッドのメジャースタジオから個人の作家まで、近年世界的に注目されている。今回2人の熱い呼びかけに応えたのは、大学生からサラリーマン、写真家、ベテラン映像作家まで、フィルムで作り、フィルムで映すことに魅せられ繋がった29名。すべて新作プレミアでの上映は、タイトル通りびっくり印の体験をもたらしてくれるはずだ!
《黒小恭介/イメージフォーラム》
「!8 exclamation-8」は、2009年頃からスタートした 8ミリフィルム上映企画です。8ミリフィルムでの上映活動を活発にする為、若手フィルムメーカーによる制作から発表をオーガナイズするグループ「Spice films」を発足。以降、上映企画や、現像のワークショップなどの活動を続けています。この5年間で、フジフイルムのSingle 8、KodakのSuper 8のカラーリヴァーサルフィルムの生産終了、また現像液やフィルムの値上がりなど、8ミリ制作を巡る環境は厳しい状況になっています。しかし、フィルムでの制作に対する興味や意欲がある作家は今でも多くおり、今回の企画は2017年度制作の新作上映会となっています。
《石川亮/!8プログラム・キュレーション》
この度、「!8」プログラムに加えて「!!16 exclamation-16」を開催いたします。フィルムの幅が2倍になって「!」も2つになりました。この16ミリプログラムは、上映フィルムの長さが「100ft」のルール付き新作上映プログラムです。100ft、スプール1巻分で、約2分30秒の映像。制限のある中で作るということは、それぞれ作家をより強く浮き彫りに、フィルムの持つ可能性をより明確に映しだすのではないでしょうか。初めてボレックスを手にした女子大生から、何年も待ち望まれた新作まで、合言葉は「16ミリ100ft」。短い中にも密度ある、フィルム上映プログラムです。
《早見紗也佳/!!16プログラム・キュレーション》
上映プログラム
Aプログラム !8 9作品 約40分
GREY HOUR ムラカミロキ/5分
さよならは私が覗く 宮川真一/5分
ちょうちょちょうちょ 三井彩紗/3分
ストロボ・フリッカー 南俊輔/3分
END OF PRAY 北澤宏昴/5分
Kodachrome 40 sound color movie film [2] 太田曜/3分
光 後藤貴志/5分
夜道に坐る 石川亮/5分
ほとり 松井摩利子/5分
Bプログラム !8 10作品 約40分
友人の仕事 日景明夫/5分
Linda/リンダ NAGAO/5分
愛の屑 鈴木章浩/3分
シーケンス 横江れいな
575 大川リサ/3分
京都小旅行 齊藤光平/6分
透馬のこと 七里圭/3分
お墓参り 阿部和浩/5分
愛讃讃 俊/6分
水を飲んでいきる(8mm上映 ver) 早見紗也佳/3分
Cプログラム !!16 14作品 約35分
A・RA・SHI -hacker- ムラカミロキ
shadow 宮崎淳
Optical Synchro Sound Movie Film 太田曜
Sumie(印象Ⅱ) 川口肇
木綿たり/MOMENTARY 水由章
ドーミー 横尾千智
点景 飯田定信
Untitled 黒川通子
3760flame 徳永彩加
パンダウン 能登勝
時光剥落(Time Peeling Off) 許岑竹
グローコーマ<緑内障> 溝の口健二
Metanoia 石川亮
ねんね 早見紗也佳
※すべて2017年度制作、AおよびBプログラムは8ミリフィルム、Cプログラムは16ミリフィルム作品
※Cプログラムの各作品の長さは、すべて100フィート=約2分30秒
※各回上映後に、来場作家のティーチ・インあり
!フィルム機材バザー
新たな生産がほとんどない、フィルムをめぐる機材の現場。捨てるなんてもってものほか。古きを上手に見つけて、大事に磨いてあげるのが、フィルムで制作を続けていく秘訣です。機材の売買に加えて、機材や撮影に関する情報交換の場としても。これから先のよきパートナーが見つかるかもしれない小さいバザーをプログラム間で開催!
※参加には上映プログラムの半券が必要です
タイムテーブル Schedule
日付 | 1/27 | 1/28 |
---|---|---|
14:00 | A | C |
16:00 | B | A |
18:00 | C | B |
- イメージフォーラム3F「寺山修司」
東京都渋谷区渋谷2-10-2
Image Forum 3F "Terayama Shuji"
2-10-2, Shibuya, Shibuya-ku
TEL. 03-5766-0116
会場 Venue
- 一般700円/会員500円
3回券1500円 - General 700 yen, Members 500 yen
Three programs 1500 yen - ※各回入替制
- ※3回券はお一人様用です
- 共催:Spice films
協力:8mmFILM小金井街道プロジェクト、日本映像学会アナログメディア研究会
当日受付 Door
- A・RA・SHI -hacker-
- shadow
- Optical Synchro Sound Movie Film
- ドーミー
- 京都小旅行
- 愛讃讃
- 点景